レジに並ぶ列で、鞄の中の財布を探す。

「買う?」

「うん。今の私には、こういう変化が必要かも。」

口に出してから少し照れた。

けれど颯太は笑って、「いいじゃん。頑張れる気がするだろ?」と返す。

会話の端々に、励ましとも冗談ともつかないやさしさがあった。

買った本を袋に入れて出ると、空は少し曇り始めていた。