本をめくりながら、あれこれ話す。

「数学は嫌いじゃないけど、応用がね。」

「でも、彩花は理解早いだろ。ケアレスミス減らせば伸びる。」

颯太の口調はさらりとしている。

でも、それがなぜか嬉しい。

ふと笑みがこぼれた。

「颯太って、意外と面倒見いいんだね。」

「そう? ただの趣味だよ。」

軽いやりとりなのに、心の奥が少し柔らかくなる。

知らなかった彼の一面を少しだけ知った気がした。