塾のドアをくぐると、冷たい外気から一気に守られた。

空気は乾いていて、鉛筆と紙の匂いがした。

颯太が先に受付を済ませ、私を振り返る。

「今日はどこ座る?」

「昨日と同じところで。」

自然に答えていた。

自分でも驚くほど声が軽い。

自習室のドアを開けると、静寂が広がる。

机の明かりが点々と並び、緊張と集中の匂いがあった。