天才棋士との結婚――そして苦悩


 ある日勇人君に全部任せて初のお出かけに向かった。

 「美晴!!」

 勿論会うのは美晴だ。
 子供がお腹の中にいる間に色々と支えてもらったのだ。

 「久しぶり。子供どんな感じなの?」

 「ほら」

 私は写真を見せる。

 「かわいいでしょ」

 その写真には私の子供が映っている。無邪気に笑っており、本当にかわいい。


 「実物見たいなあ」
 「今度見せてあげるわ。いつかね」

 そう言って笑った。
 まだ外にはあまり連れ出せない。体も弱いし、リスクもある。
 何より、こんなおしゃれなカフェ。
  ここで泣かれては困る。

 「美晴も今度家に遊びに来てよ」

 私は美晴の手を掴みながら言った。
 家に来る分には問題がないだろう。

 「うん、分かった」

 そう言って美晴は笑った。

 その一週間後、美晴が家に来ることになった。
 美晴が家に来るのは出産後初めてだ。

 勇人君は笑顔で「いらっしゃい」と言った。
 美晴も「お邪魔します」と言って中に入っていく。

 「それで、赤ちゃんはどこ??」

 興奮しきった様子で言う。
 よほど会いたいのだろう。思えば美晴はまだ未婚。子どもがいない。だからこそ気になるのだろう。

 私は美晴の手を取り、

 「今から見せてあげる」

 中へと連れて行く。

 美晴は愛を見るとすぐに「かわいい」と叫んだ。
 その言葉がいけなかったのか、愛は泣き出した。

 「ちょっと美晴」
 「ごめん」

 美晴は頭を下げた。
 私はそれを見て思わず笑ってしまった。……そんな美晴が可愛くて。

 「大丈夫だよ。お母さんの友達だからねー」

 私は小さく愛ちゃんに呼びかけ優しく撫でる。するとすぐに泣き声は収まった。

 「流石はお母さんね」
 「いや、それほどでも」

 でも、今の言葉で私はお母さんなんだと、再確認をした。