滝森さんと別れ、僕はヒカルのいる河川敷へと赴いていた。新しく買った猫用の餌の中身を開け、タッパに注ぐ。匂いを嗅ぎつけたのかヒカルは段ボールから出てくると僕の方へと歩いてくる。
タッパを差し出すと中に入った餌の匂いを恐る恐る嗅ぐ。匂いから餌と認識したようでゆっくりと食べ始めた。僕はその様子を見ながら先ほどの滝森さんとのやりとりを思い出していた。表情がどんどん緩くなっていくのがわかる。
まさか休日に会えるなんて思ってもみなかった。彼女の私服姿はとても華やかだった。化粧や香水など、校則で禁止されており、普段では絶対に見れない彼女を見れたのは幸いだ。
何よりも良かったのは、プライベートでもなお彼女が心優しくて素敵だったことだ。家事全般を行っており、それでいてバイトをしてお金を稼いでいるなんて思いもしなかった。学校どころか家でも完璧超人とは本当に頭が上がらない。
ふと先ほどから通知音を鳴らすスマホへと手を掛ける。見るとクラスのチャットでいくつかメッセージが飛んできていた。
内容は明後日から始まる学校の定期テストについてだった。一人の男子がテスト範囲を忘れてしまったみたいでクラスに助けを求めていた。それに回答していたのは滝森さんだった。見やすいようにそれぞれの科目に「四角のマーク」をつけて答えている。これからバイトがあるというのに、いち早く対応しているのは流石としか言いようがない。
そういえば、明後日からテストが始まるというのにバイトするのは許されているのだろうか。クラスで一二を争うほどの秀才だ。テスト週間にバイトをして、その点数が取れるのであれば学校側も許しているのだろう。
ただ、そこまでしてバイトをしているということは家庭的に相当貧しいのだろう。
できる限り、彼女の助けになってあげたい。クラスのチャットから『マイクレジット』のアプリへと移行する。信用スコアは615ポイント。おそらくクラスの中で僕のみが社会クラス6という地位を手に入れているはずだ。
地位を利用して少しでも彼女の役に立つことができたのは嬉しいことだった。
ひんやりと冷たい風が漂う。昼頃ではあるものの日陰となっている川辺は半袖Tシャツでは肌寒くなり始めている。
季節は着実に冬へと近づき始めていた。僕はスマホから視線を外し、満足そうに前足をなめ、頬を擦っているヒカルを見た。今回の餌はかなり満足げなご様子だ。
「もうそろそろ毛布を買ってあげないとだな」
ひとりごちりながらヒカルの頭を撫でる。ヒカルは気持ちよさそうな顔を見せる。前の飼い主にもきっと同じようなことをされていたのだろう。そう考えると少し胸が痛くなる。
「もうすぐ、新しい人が来てくれるよ。きっとヒカルも喜んでくれると思う人がね」
僕は滝森さんと二人でヒカルと微笑ましく遊んでいる未来を妄想する。彼女の忙しさからして難しいかもしれないが、そう遠くない未来で実現できそうな気はしていた。
彼女は僕に『また一緒に買い物に行こう』と言ってくれたのだ。きっと僕たちの関係は良好なものになるのだと思った。
少しだけ辛かった学校生活に花が開いたと実感できた。
タッパを差し出すと中に入った餌の匂いを恐る恐る嗅ぐ。匂いから餌と認識したようでゆっくりと食べ始めた。僕はその様子を見ながら先ほどの滝森さんとのやりとりを思い出していた。表情がどんどん緩くなっていくのがわかる。
まさか休日に会えるなんて思ってもみなかった。彼女の私服姿はとても華やかだった。化粧や香水など、校則で禁止されており、普段では絶対に見れない彼女を見れたのは幸いだ。
何よりも良かったのは、プライベートでもなお彼女が心優しくて素敵だったことだ。家事全般を行っており、それでいてバイトをしてお金を稼いでいるなんて思いもしなかった。学校どころか家でも完璧超人とは本当に頭が上がらない。
ふと先ほどから通知音を鳴らすスマホへと手を掛ける。見るとクラスのチャットでいくつかメッセージが飛んできていた。
内容は明後日から始まる学校の定期テストについてだった。一人の男子がテスト範囲を忘れてしまったみたいでクラスに助けを求めていた。それに回答していたのは滝森さんだった。見やすいようにそれぞれの科目に「四角のマーク」をつけて答えている。これからバイトがあるというのに、いち早く対応しているのは流石としか言いようがない。
そういえば、明後日からテストが始まるというのにバイトするのは許されているのだろうか。クラスで一二を争うほどの秀才だ。テスト週間にバイトをして、その点数が取れるのであれば学校側も許しているのだろう。
ただ、そこまでしてバイトをしているということは家庭的に相当貧しいのだろう。
できる限り、彼女の助けになってあげたい。クラスのチャットから『マイクレジット』のアプリへと移行する。信用スコアは615ポイント。おそらくクラスの中で僕のみが社会クラス6という地位を手に入れているはずだ。
地位を利用して少しでも彼女の役に立つことができたのは嬉しいことだった。
ひんやりと冷たい風が漂う。昼頃ではあるものの日陰となっている川辺は半袖Tシャツでは肌寒くなり始めている。
季節は着実に冬へと近づき始めていた。僕はスマホから視線を外し、満足そうに前足をなめ、頬を擦っているヒカルを見た。今回の餌はかなり満足げなご様子だ。
「もうそろそろ毛布を買ってあげないとだな」
ひとりごちりながらヒカルの頭を撫でる。ヒカルは気持ちよさそうな顔を見せる。前の飼い主にもきっと同じようなことをされていたのだろう。そう考えると少し胸が痛くなる。
「もうすぐ、新しい人が来てくれるよ。きっとヒカルも喜んでくれると思う人がね」
僕は滝森さんと二人でヒカルと微笑ましく遊んでいる未来を妄想する。彼女の忙しさからして難しいかもしれないが、そう遠くない未来で実現できそうな気はしていた。
彼女は僕に『また一緒に買い物に行こう』と言ってくれたのだ。きっと僕たちの関係は良好なものになるのだと思った。
少しだけ辛かった学校生活に花が開いたと実感できた。



