そして、康介の件からしばらくたった頃。
鈴奈と一緒に海に行った。
前回は急遽決まったことであったため、そして季節がいだったから泳ぐなどという事はしなかったが、今回は違う。
今回はきちん泳ぐために準備してきたのだ。
今日は水着をちゃんと着てきてという事なので、ちゃんと水着も着てきて。
ちなみに今回は現地集合だ。着替えるのも、鈴奈と会うまでに行った
「どう? 私の水着、かわいいでしょ!!」
着いて早速鈴奈にそう言われた。
彼女の水着は水色の水玉模様のある水着で、可愛らしいものだった。
「これで鬼に金棒な気がするよ」
そう言って鈴奈は笑った。自分のことをかわいいと思っているようだ。
「俺もそう思うよ」
実際そうなのだから困る。
そう、鈴奈に告げると、やったという感じでうれしそうな顔をした。
「そう言えば、お前はどれくらい泳げるんだ?」
「えっとね、だいぶ泳げるよ。こう見えて私小学生の時はスイミングスクールに通っていたもんで」
「ほー。てことは得意っていう事か」
「そうだよ。じゃあ、見せてあげるね。私の泳ぎ」
そう言って、鈴奈は一目散に海へと走って行った。
「おい、泳ぐのはいいけど、ちゃんとけがしないようにするんだぞ。てか、準備体操的なことをしろよ」
「大丈夫でしょ? そんなもの」
そう言い放って、鈴奈は勢いよく海に飛び込んだ。
飛び込んでいったといっても、正確には海に向かって駆け出したの方が正解か。
そして鈴奈は華麗に泳ぎだした。
綺麗な泳ぎで、見ている方も思わず見とれてしまうほどの泳ぎだった。
そして、海の安全柵のところにタッチしてすぐに戻ってきた。
「結構早いな」
「でしょー。少なくとも余命持ちには見えないよね」
「ああ、すごい泳ぎだ」
「もっと褒めてよ」
そう言って鈴奈は俺の手を握る。
「なんだよ、もう十分に褒めていると思うんだが」
「いや、さらにもっとよ」
「はあ、わがまますぎるだろ」
どこぞのお嬢様か。
「あ、今ため息したでしょ。てか、早く浩二君も泳いできたら」
「ああ、言われなくとも」
そして俺は水の中に入っていき、そして軽く水のなかを泳ぎ回る。とはいえ、若干怖いので、陸に足がつく程度のところで泳いでいるが。
「ねえ、浩二君もあそこまで泳いで来たら?」
鈴奈が俺の隣に来て、そう言ってきた。鈴奈が指さしたのは、遥か先、安全柵付近のところだった。
「別にあそこまで行かなくてもいいじゃねえか」
「ええ? 海にせっかく来たのに、あそこに行かないのはもったいないよ!!」
「っわかったよ。じゃあ」
と、俺も深く泳いで、向こう側へと向かって行く。
「えへへ競争だね!」
と言って彼女も一歩遅れて、俺を追いかける。別に俺は競争なんてしたくないんだがな。とはいえ、負けたくはないので俺も泳ぐ速度を上げる。
そんな時、後ろから悲鳴が聞こえた。
泳ぐのをやめ、後ろを振り返ると、鈴奈が足をつったみたいで上手く泳げずにいた。
「ああ、くそ!」
俺はすぐに引き返し、鈴奈の手をつかみ、陸の方へと向かう。
そして、足がつくと、お姫様抱っこのような形に切り替えた。
「え? 浩二君?」
「じっとしとけ」
どうやらその状態が鈴奈にとってかなり恥ずかしい状態だったらしく、顔を赤くしている。
俺だってこれ以外に方法があるなら教えてほしいところだ。
そして、そしてようやく陸に着き、鈴奈を床に座らせる。
「ありがとう」
「ばか、競争なんてするからだ」
「……ごめん」
「今度からは気をつけながら泳ごうぜ。お前のただ短い余命がさらに短くなってしまう」
そうなったら死神も困るだろうし。
「うん。あと、さっきの浩二君かっこよかった」
「はあ? 何だ急に」
「急だよ。でもさ、それだけ言いたい」
その顔を見ると赤く染まっていた。
ああ、くそ。
「っ、そんなこと軽々しく言うなよ。勘違いするから」
「あ、そんなこと言うんだー。一ヶ月半限定の彼女になってあげてもいいよ」
「別にそれはいい。結構だ」
「えー。酷い」
「俺は海に戻ってくる」
俺はそう言ってわざとらしく頬を膨らましている鈴奈を置いてすたすたと海の方へ戻る。
そして後ろを振り返ると、その後を鈴奈も追いかけてきていた。
「今度は足つるなよ」
「大丈夫、あれは普通ならないから!」
「その普通はならないようなやつにお前はなったんだけどな」
そんな事を言いつつ、俺たちは泳ぎに泳ぎまくった。各々の欲望のままに。
そして疲れたので一旦海の中から出る。
「はあ楽しかった!」
彼女は満面の笑みをこちらに向けながらそう言った。その顔を見ると、本当に楽しかったんだろうなというのが伝わってくる。
「私これが最後になるかもしれないから存分に楽しみたい」
「最後になんかさせねえよ。また来たらいいじゃねえか、海でもプールでも」
「うん。ありごと、でも、そんなに私の水着姿見たいんだー」
そう言って鈴奈は自分の水着をさする。露出の多い水着だから少しエッチだ。
「そんな事を言うんだったらもう一緒に出かけねえぞ」
「冗談だって。ごめん!」
「はあ、ならいいけどよ」
「あ、そうだ! このあとボールで遊ばない?」
そう、鈴奈はボールを鞄の中から取り出しながら言った。
「なんだ? 急に」
「なんだっていいでしょ? やりたくなったの。いい?」
「まあいいが」
鈴奈のわがままにはもう慣れた。
「じゃあはい!」
鈴奈がいきなりがボールを投げてくる。ちゃんと準備をしていなかった俺はうまく受け止められず、地面を転々と転がる。
「急だろ!!!」
そう言って、地面を転がるボールを拾い、間髪入れずに鈴奈に向かって思い切り投げる。
ボールの行方を見ると、鈴奈は上手く返せてなかったみたいだ。ボールは転々と彼女の右に転がっていった。
「もう、ちゃんと返してよ! ボール取りに行くの面倒くさいんだから」
「仕返しだ」
そう文句を言う。しかし、俺の文句が終わる前にボールが飛んできた。
「忙しくさせる気かよ」
と、そのボールを返す。上手く返せていたみたいで、鈴奈の正面に真っ直ぐに飛んでいく。
俺がほっとすると、すぐに真っ直ぐにボールが帰ってきて、ラリーが続く。
「浩二君も上手いねー!」
「そっちもだろ。決まったコースにばかり投げてきて」
実際に、必ず俺に近い場所に投げてくるのだ。そのおかげで俺もミスすることなく返すことが出来る。
「感謝しなさいよ」
「ああ、感謝するわ。ありがとう」
「そんなあっさり感謝されたらこっちが恥ずかしくなってくるんだけど」
「まあ、わざとだしな。そのための戦略だ」
「もう、そんなこと言っちゃって。怒るよ?」
「おう、怒っていいぞ」
「じゃあ、遠慮なく。私のせいにしやがってー!!!」
そう言って鈴奈は、今度は逆に俺の取りにくい方向にばかり投げてくる。だが、少し嫌なところに。だが、ムカつくことにそれは俺が取れないレベルの球じゃないのだ。あくまでも、難しいけど、不可能ではない……そう言う場所に。
だが、それあはそれでスリル性があって楽しかった。少なくとも一つだけ言えることがある。今まで言った海の中で一番楽しいと。
そもそも俺はまともに海で遊んだことはなかった。あったとしても、それは一人での海だ。楽しくはない。全くと言っていいものだ。
俺はそもそも家族と触れ合うことなどなかった故、友達を作る方法も分からなくなっていた。
だから海など一人で行ったことがなかったのだ。
「じゃあ、また今度ね」
「ああ」
そんな楽しい時間もすぐに終わり、俺たちは帰宅の時間となった。まず、更衣室で水着を脱いで、服に着替える。その瞬間に少し悲しい気持ちがした。楽しい海はこれで終わりなのだと。
俺はもうこんな楽しい海に行くことなどもうないのかな。そんなことを考えれば考えるほど、寂しくなってしまう。
鈴奈とは今年の夏はいつでも海に行ける。だが、来年は?
俺にはわからなかった。
そもそも俺はこういう気持ちになったことがなかった。案外今まで気丈にふるまっていたが、本当に鈴奈が死ぬ未来を悲しく思っているのは俺なのかもしれない。
そんなことを考えると、目から水がこぼれだしてきた。
「これじゃあ、だめだな」
まだ、彼女は死んでいない、この更衣室から出たら彼女に会える。
そう思っているはずなのに、なのに、なかなか涙が止まらなかった。
「お待たせ」
俺は泣いていたことを悟らせないように強気をイメージして彼女に話しかけた。
「待ってないけど」
「ひどいな」
「まあ、行こ!」
そう、鈴奈が俺の手を引いてくる。
そんな鈴奈を見ていると、こっちまで泣いてたのが馬鹿らしくなってくる。
俺も「おう!」と言って鈴奈の手を握り返した。
鈴奈と一緒に海に行った。
前回は急遽決まったことであったため、そして季節がいだったから泳ぐなどという事はしなかったが、今回は違う。
今回はきちん泳ぐために準備してきたのだ。
今日は水着をちゃんと着てきてという事なので、ちゃんと水着も着てきて。
ちなみに今回は現地集合だ。着替えるのも、鈴奈と会うまでに行った
「どう? 私の水着、かわいいでしょ!!」
着いて早速鈴奈にそう言われた。
彼女の水着は水色の水玉模様のある水着で、可愛らしいものだった。
「これで鬼に金棒な気がするよ」
そう言って鈴奈は笑った。自分のことをかわいいと思っているようだ。
「俺もそう思うよ」
実際そうなのだから困る。
そう、鈴奈に告げると、やったという感じでうれしそうな顔をした。
「そう言えば、お前はどれくらい泳げるんだ?」
「えっとね、だいぶ泳げるよ。こう見えて私小学生の時はスイミングスクールに通っていたもんで」
「ほー。てことは得意っていう事か」
「そうだよ。じゃあ、見せてあげるね。私の泳ぎ」
そう言って、鈴奈は一目散に海へと走って行った。
「おい、泳ぐのはいいけど、ちゃんとけがしないようにするんだぞ。てか、準備体操的なことをしろよ」
「大丈夫でしょ? そんなもの」
そう言い放って、鈴奈は勢いよく海に飛び込んだ。
飛び込んでいったといっても、正確には海に向かって駆け出したの方が正解か。
そして鈴奈は華麗に泳ぎだした。
綺麗な泳ぎで、見ている方も思わず見とれてしまうほどの泳ぎだった。
そして、海の安全柵のところにタッチしてすぐに戻ってきた。
「結構早いな」
「でしょー。少なくとも余命持ちには見えないよね」
「ああ、すごい泳ぎだ」
「もっと褒めてよ」
そう言って鈴奈は俺の手を握る。
「なんだよ、もう十分に褒めていると思うんだが」
「いや、さらにもっとよ」
「はあ、わがまますぎるだろ」
どこぞのお嬢様か。
「あ、今ため息したでしょ。てか、早く浩二君も泳いできたら」
「ああ、言われなくとも」
そして俺は水の中に入っていき、そして軽く水のなかを泳ぎ回る。とはいえ、若干怖いので、陸に足がつく程度のところで泳いでいるが。
「ねえ、浩二君もあそこまで泳いで来たら?」
鈴奈が俺の隣に来て、そう言ってきた。鈴奈が指さしたのは、遥か先、安全柵付近のところだった。
「別にあそこまで行かなくてもいいじゃねえか」
「ええ? 海にせっかく来たのに、あそこに行かないのはもったいないよ!!」
「っわかったよ。じゃあ」
と、俺も深く泳いで、向こう側へと向かって行く。
「えへへ競争だね!」
と言って彼女も一歩遅れて、俺を追いかける。別に俺は競争なんてしたくないんだがな。とはいえ、負けたくはないので俺も泳ぐ速度を上げる。
そんな時、後ろから悲鳴が聞こえた。
泳ぐのをやめ、後ろを振り返ると、鈴奈が足をつったみたいで上手く泳げずにいた。
「ああ、くそ!」
俺はすぐに引き返し、鈴奈の手をつかみ、陸の方へと向かう。
そして、足がつくと、お姫様抱っこのような形に切り替えた。
「え? 浩二君?」
「じっとしとけ」
どうやらその状態が鈴奈にとってかなり恥ずかしい状態だったらしく、顔を赤くしている。
俺だってこれ以外に方法があるなら教えてほしいところだ。
そして、そしてようやく陸に着き、鈴奈を床に座らせる。
「ありがとう」
「ばか、競争なんてするからだ」
「……ごめん」
「今度からは気をつけながら泳ごうぜ。お前のただ短い余命がさらに短くなってしまう」
そうなったら死神も困るだろうし。
「うん。あと、さっきの浩二君かっこよかった」
「はあ? 何だ急に」
「急だよ。でもさ、それだけ言いたい」
その顔を見ると赤く染まっていた。
ああ、くそ。
「っ、そんなこと軽々しく言うなよ。勘違いするから」
「あ、そんなこと言うんだー。一ヶ月半限定の彼女になってあげてもいいよ」
「別にそれはいい。結構だ」
「えー。酷い」
「俺は海に戻ってくる」
俺はそう言ってわざとらしく頬を膨らましている鈴奈を置いてすたすたと海の方へ戻る。
そして後ろを振り返ると、その後を鈴奈も追いかけてきていた。
「今度は足つるなよ」
「大丈夫、あれは普通ならないから!」
「その普通はならないようなやつにお前はなったんだけどな」
そんな事を言いつつ、俺たちは泳ぎに泳ぎまくった。各々の欲望のままに。
そして疲れたので一旦海の中から出る。
「はあ楽しかった!」
彼女は満面の笑みをこちらに向けながらそう言った。その顔を見ると、本当に楽しかったんだろうなというのが伝わってくる。
「私これが最後になるかもしれないから存分に楽しみたい」
「最後になんかさせねえよ。また来たらいいじゃねえか、海でもプールでも」
「うん。ありごと、でも、そんなに私の水着姿見たいんだー」
そう言って鈴奈は自分の水着をさする。露出の多い水着だから少しエッチだ。
「そんな事を言うんだったらもう一緒に出かけねえぞ」
「冗談だって。ごめん!」
「はあ、ならいいけどよ」
「あ、そうだ! このあとボールで遊ばない?」
そう、鈴奈はボールを鞄の中から取り出しながら言った。
「なんだ? 急に」
「なんだっていいでしょ? やりたくなったの。いい?」
「まあいいが」
鈴奈のわがままにはもう慣れた。
「じゃあはい!」
鈴奈がいきなりがボールを投げてくる。ちゃんと準備をしていなかった俺はうまく受け止められず、地面を転々と転がる。
「急だろ!!!」
そう言って、地面を転がるボールを拾い、間髪入れずに鈴奈に向かって思い切り投げる。
ボールの行方を見ると、鈴奈は上手く返せてなかったみたいだ。ボールは転々と彼女の右に転がっていった。
「もう、ちゃんと返してよ! ボール取りに行くの面倒くさいんだから」
「仕返しだ」
そう文句を言う。しかし、俺の文句が終わる前にボールが飛んできた。
「忙しくさせる気かよ」
と、そのボールを返す。上手く返せていたみたいで、鈴奈の正面に真っ直ぐに飛んでいく。
俺がほっとすると、すぐに真っ直ぐにボールが帰ってきて、ラリーが続く。
「浩二君も上手いねー!」
「そっちもだろ。決まったコースにばかり投げてきて」
実際に、必ず俺に近い場所に投げてくるのだ。そのおかげで俺もミスすることなく返すことが出来る。
「感謝しなさいよ」
「ああ、感謝するわ。ありがとう」
「そんなあっさり感謝されたらこっちが恥ずかしくなってくるんだけど」
「まあ、わざとだしな。そのための戦略だ」
「もう、そんなこと言っちゃって。怒るよ?」
「おう、怒っていいぞ」
「じゃあ、遠慮なく。私のせいにしやがってー!!!」
そう言って鈴奈は、今度は逆に俺の取りにくい方向にばかり投げてくる。だが、少し嫌なところに。だが、ムカつくことにそれは俺が取れないレベルの球じゃないのだ。あくまでも、難しいけど、不可能ではない……そう言う場所に。
だが、それあはそれでスリル性があって楽しかった。少なくとも一つだけ言えることがある。今まで言った海の中で一番楽しいと。
そもそも俺はまともに海で遊んだことはなかった。あったとしても、それは一人での海だ。楽しくはない。全くと言っていいものだ。
俺はそもそも家族と触れ合うことなどなかった故、友達を作る方法も分からなくなっていた。
だから海など一人で行ったことがなかったのだ。
「じゃあ、また今度ね」
「ああ」
そんな楽しい時間もすぐに終わり、俺たちは帰宅の時間となった。まず、更衣室で水着を脱いで、服に着替える。その瞬間に少し悲しい気持ちがした。楽しい海はこれで終わりなのだと。
俺はもうこんな楽しい海に行くことなどもうないのかな。そんなことを考えれば考えるほど、寂しくなってしまう。
鈴奈とは今年の夏はいつでも海に行ける。だが、来年は?
俺にはわからなかった。
そもそも俺はこういう気持ちになったことがなかった。案外今まで気丈にふるまっていたが、本当に鈴奈が死ぬ未来を悲しく思っているのは俺なのかもしれない。
そんなことを考えると、目から水がこぼれだしてきた。
「これじゃあ、だめだな」
まだ、彼女は死んでいない、この更衣室から出たら彼女に会える。
そう思っているはずなのに、なのに、なかなか涙が止まらなかった。
「お待たせ」
俺は泣いていたことを悟らせないように強気をイメージして彼女に話しかけた。
「待ってないけど」
「ひどいな」
「まあ、行こ!」
そう、鈴奈が俺の手を引いてくる。
そんな鈴奈を見ていると、こっちまで泣いてたのが馬鹿らしくなってくる。
俺も「おう!」と言って鈴奈の手を握り返した。



