私余命宣告を受けている。十八になった瞬間死ぬという事らしい。
 私は今十七歳八ヶ月、あと四ヶ月しか生きられない。
 しかも、それを知ったのはついこの前だ。

 夢で死神が出てきたのだ。

 彼は私に将来的に死ぬと言う予言を残した。そこで嘘だと思えたのならまだ良かった。
 だが、夢にしては意識がはっきりとしすぎている。夢などどんな壮大な夢でも数日経てば忘れると言うのに。
 他人には言っていない。こんな非科学的なこと誰が信じると言うんだ。

 その夢が本当だと実感したとき、私は仕方がない程に悲しくなった。

 私は大人になれない、私は結婚できない。
 それどころか、人生の楽しいイベントを迎えられない。
 そんな悲しいことはない。
 私はこの世に何も残せないのだ。

 私はこの短い時間の中で何ができるのだろうか、何をなせるのだろうか。
 私は恩返しとかできているのか、そんな思考が脳内で巡る。

 私は大した人間じゃない。だから死ぬんだ。
 私はこの世にいらない人間だから死ぬんだ。

 死神は私がなぜ死ぬのかは教えてくれなかった。
 でも、言えないのだろう。この世に私はいてはいけないのだろう。
 もうすでに数日学校を休んでしまっている。
 この程度で休んでしまっている私は一体……。
 そう思うと、悲しくなってきた。
 涙が出てきた。

 自殺も考えたが、それを行えるほど私は強くはない。

 気が付けば、私は家を飛び出し、公園に向かっていた。

 「ああ、懐かしいな」

 そう思って、ブランコに乗った。子どもの時には好きだったが、今やほとんど乗ることがない遊具。楽しい、まさかこんなにも楽しいと思っていなかった。
 だが、それで悲しみを忘れられたのはほんの一瞬だけだった。そんなのが嘘かと思うほどすぐに悲しみは舞い戻ってきた。今度の悲しみは何をしても乗り越えられなかった。ああ、死にたくない。死にたくない。

 「ああ、もう涙が止まらないね」

 そう呟いて公園で大号泣した。
 人目もはばからず、子どもみたいに純粋に泣いた。
 もう、全てどうでもいい。そのような気持ちで。
 本当にもうじき死ぬ私にはすべてが関係が無いのだ。
 人にどう思われようと、もう、この世の全てが。