そして、学校にも慣れてきたある日のこと、私の机の中に手紙が入っていた。
 それを見るとラブレターのようなもので、放課後に空き教室に来て欲しいと書いてあった。

 それを見た時、非常に困った。

 確かに私は茂とは連絡を取れていない。茂とは疎遠になっている。
 だけど、だからと言って私はこの告白を受けるわけには行かない。


 私は茂一筋なんだから。

 それに、疎遠になっているだけで、恋人関係は解消されたわけでもないのだし。

 一応手紙のことについて十和子に相談した。


 十和子に事の経緯を説明したら、案の定、断ったほうがいいという答えが返ってきた。私の考えと一緒で、ほっとした。
 そして、私は放課後ラブレターの主に会う事にした。

 勿論断る前提で。

 その場所に行く際に入り口付近で女の子とぶつかってしまった。

 「すみません」

 そう顔も見ずに頭を下げ、中に入る。

 そこには一人の男性がいた。クラスメイトの長谷川猛だろう。

 クラスでもどちらかと言えば陽キャで、イケメンという噂だ。
 そんな人にラブレターを送られたのだ。普通に誇ってもいい事だろう。

 だけど、私は、私には茂君がいる。


 「付き合ってください」

 早速私の顔を見た彼がそう言った。でも、こんな告白受けるわけには行かない。

 さあ、言うんだ私。
 無理です、彼氏がいるので、と。

 「す……」

 その真剣な顔を見たら断るのが怖くなって来た。私には断る勇気もないっていうのか。
 ああ、勇気を、勇気をください。


 「すみません!!!!!!!!」


 思ったよりも大きな声が出た。長谷川君はビビっている様子だ。

 ちなみに私もビビっている。

 「ごめんなさい、大きな声を出して。でも私には彼氏がいるから。ごめんなさい」

 そう言ってその場から逃する。

 はあ、緊張した。