漫画を読んで心を落ち着かせようとしたけれど、漫画の内容が入ってこない。
「ねぇ鈴〜。お腹すいた〜なんか作って〜」と後ろで甘えた声を出す優馬。
「自分で作りなさーい」
「え〜そんなんだったら彼氏できないぞー」
 優馬が好きだから彼氏できないんだよ。
「彼氏できなくていいですー。そっちこそ、彼女できないくせに」
「……彼女できた」
 彼女ができた? 何でこのタイミングで? 気持ち伝えようと思ってたのに。彼女いるなら伝えられないじゃん。
 結局優馬にとって私はただの幼馴染で、ただの友達なんだ。分かってはいたけれど、こんな形で現実を突きつけられるなんて最悪だ。
 私は女として一度も見られたことがなかったんだ。
 もう、今度こそ諦められそう。引っ越すし、顔を見なくなったら段々と好きの気持ちも薄れていくんだろうな。

 振り返って、後ろのベッドで寝転んでいる優馬を見た。
 優馬が微笑んでいる。そんな優馬を見ていると、吸い寄せられるように唇を重ねていた。
 私何やってるんだろう。唇を離して、優馬を見ると、目を見開いて驚いているようだった。
 私は何も言わずに立ち上がって、部屋を出た。

 やらかした。優馬にキスするなんて、最悪だ。優馬にも悪いし、彼女さんにも悪い。本当最悪。キスするぐらいなら、好きだって伝えたほうがましだった。
 好きだって伝えられなくても彼女とお幸せにって言えば良かった。
 好きな人の幸せを願わないでどうする自分。

 もう今日はやけ食いして、今度優馬に会ったら謝ろう。