2025-09-14
『タイプ』
「どんな人がタイプなの?」と訊いてみた。
幼馴染である涼太に対して何気ない感じで。
涼太は昔から真っ直ぐな性格だった。
本音を隠すのが嫌いだと言うほどに。
「笑顔が素敵な人かな~」と言われた。
「全員に当てはまっちゃうね」と笑い。
「他にどんなタイプがあるの?」と訊いた。
「うーん、居心地の良い人かな」と言われ。
「なら私でいいんじゃない?」と言った。
口にしたのではなく心の中で思っただけ。
「莉子はどんな人がタイプなの?」と訊かれた。
涼太のように本音を言えたら楽なのにと思った。
「あはは、どんな人がタイプなんだろう」と言う。
変なことを言ってしまうとバレてしまう気がして。
「涼太みたいな人好きだよ」とは言えなかった。
冗談が言えないほどに私は真剣に恋をしていた。
恋をしたタイミングはもう覚えていない。
幼い頃から家族ぐるみで仲良くしていて。
親たちからは「付き合ったりして」と言われていた。
涼太は「そんなことはない」と言っていたけれども。
私は「そんなことあるかも」と冗談を言っていた。
まだ冗談を言えるほどに軽い恋だったのだと思う。
軽ければまだ良かったものの
もう引き返せないほどの好意。
告白をしてしまえば付き合えるかもしれないし
付き合えずに関係が崩れてしまうかもしれない。
今の生ぬるい関係が私にとっては幸せなのだと。
好きなタイプを聞いても好かれないというのに。
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『タイプ』
「どんな人がタイプなの?」と訊いてみた。
幼馴染である涼太に対して何気ない感じで。
涼太は昔から真っ直ぐな性格だった。
本音を隠すのが嫌いだと言うほどに。
「笑顔が素敵な人かな~」と言われた。
「全員に当てはまっちゃうね」と笑い。
「他にどんなタイプがあるの?」と訊いた。
「うーん、居心地の良い人かな」と言われ。
「なら私でいいんじゃない?」と言った。
口にしたのではなく心の中で思っただけ。
「莉子はどんな人がタイプなの?」と訊かれた。
涼太のように本音を言えたら楽なのにと思った。
「あはは、どんな人がタイプなんだろう」と言う。
変なことを言ってしまうとバレてしまう気がして。
「涼太みたいな人好きだよ」とは言えなかった。
冗談が言えないほどに私は真剣に恋をしていた。
恋をしたタイミングはもう覚えていない。
幼い頃から家族ぐるみで仲良くしていて。
親たちからは「付き合ったりして」と言われていた。
涼太は「そんなことはない」と言っていたけれども。
私は「そんなことあるかも」と冗談を言っていた。
まだ冗談を言えるほどに軽い恋だったのだと思う。
軽ければまだ良かったものの
もう引き返せないほどの好意。
告白をしてしまえば付き合えるかもしれないし
付き合えずに関係が崩れてしまうかもしれない。
今の生ぬるい関係が私にとっては幸せなのだと。
好きなタイプを聞いても好かれないというのに。
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