2025-09-16
『暇乞い』
手放すのが怖いと感じるほどに
私は真剣に恋をしていたのだし。
手放すのが怖いと感じるほどに
幸せに満ちた日々だったから私。
君の「別れよう」という言葉に対して
「分かった」と言えるはずもなかった。
きっと私が「分かった」と言っていれば君は
ここまで困った表情になっていないだろうに。
同棲を始めて2年が経った。
やはり駄目な部分も見える。
君は洋服を脱ぎっぱなしにする癖や
水滴が零れてもそのままにしていた。
その都度、私が洗濯機へ入れに行ったり
濡れてしまった場所を拭いていたけれど。
君が変わることはなかった。
唯一変わったのは恋心だけ。
私に向いていたはずの恋心は
もう別の誰かへと向いていた。
知っていた、私がどれだけ尽くそうとも
君はもう私に飽きてしまっていることを。
どう足掻いても結末は見えてしまう。
「別れ」の2文字が途轍もなく不穏。
困った表情をしている君に向かって
「私といて幸せだった?」と訊いた。
「うん、幸せだった。幸せだったよ」と繰り返す。
きっと幸せな日々も薄れてしまっているだろうに。
「よかった。じゃあ、別れよう」と言った。
それが君に対しての精一杯の強がりだった。
困った表情をしていた君が一瞬で
スッと晴れたような表情になった。
「君にはきっと、いい人がいるよ」と言われた。
「見る目がないな」と言われている様で悔しい。
「私は君がいいと思ったのに」と本音が浮かぶ。
君に伝えないで心の奥に秘めたままだけれども。
手放すのが怖いと感じるほどに
幸せに満ちた日々だっただけで
それらはもう、冷め切っていた。
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『暇乞い』
手放すのが怖いと感じるほどに
私は真剣に恋をしていたのだし。
手放すのが怖いと感じるほどに
幸せに満ちた日々だったから私。
君の「別れよう」という言葉に対して
「分かった」と言えるはずもなかった。
きっと私が「分かった」と言っていれば君は
ここまで困った表情になっていないだろうに。
同棲を始めて2年が経った。
やはり駄目な部分も見える。
君は洋服を脱ぎっぱなしにする癖や
水滴が零れてもそのままにしていた。
その都度、私が洗濯機へ入れに行ったり
濡れてしまった場所を拭いていたけれど。
君が変わることはなかった。
唯一変わったのは恋心だけ。
私に向いていたはずの恋心は
もう別の誰かへと向いていた。
知っていた、私がどれだけ尽くそうとも
君はもう私に飽きてしまっていることを。
どう足掻いても結末は見えてしまう。
「別れ」の2文字が途轍もなく不穏。
困った表情をしている君に向かって
「私といて幸せだった?」と訊いた。
「うん、幸せだった。幸せだったよ」と繰り返す。
きっと幸せな日々も薄れてしまっているだろうに。
「よかった。じゃあ、別れよう」と言った。
それが君に対しての精一杯の強がりだった。
困った表情をしていた君が一瞬で
スッと晴れたような表情になった。
「君にはきっと、いい人がいるよ」と言われた。
「見る目がないな」と言われている様で悔しい。
「私は君がいいと思ったのに」と本音が浮かぶ。
君に伝えないで心の奥に秘めたままだけれども。
手放すのが怖いと感じるほどに
幸せに満ちた日々だっただけで
それらはもう、冷め切っていた。
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