2025-08-18
『もう一度、出会えるのなら』

もう一度、君と出会えるのなら
伝えたいことを伝えるだろうに。

もう会うことすら許されていないから
伝えたいことばかりが頭の中に浮かぶ。

君の遺影を前にして
私は無力だと感じる。

君が病気で苦しんでいたとき
私は寄り添うことしかできず。

君の苦しむ姿を見るくらいなら
私が身代わりにだってなるのに。

身代わりになるという選択は
この世に存在していないから。

君が辛そうにしているのを見て
私は1人で泣くことしかできず。

君が逝ってから苦しそうではなく
無に戻ったような表情をしていて。

内心ホッとしている自分がいる。
苦しそうな君を見ることはない。

ただ、もう寄り添うことすらできない。
その寂しさだけが心に残り続けている。

君が入院をしていた頃は
こんな報告をしてくれた。

「今日はね、〇〇をしたよ」
「今日、この本を読んだよ」

君が逝ってしまってからは
私が報告をする側になった。

「今日はね、〇〇をしたよ」
「新しい花を買ってきたよ」

報告をされるだけで嬉しかった過去。
報告をすることで君と繋がれる現在。

遺影に写る君が笑った気がした。
気がしただけ、気がしただけで。

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