2025-08-28
『愛を誓う』

「100年先も愛を誓う」と言うと君に
「100年先は生きていない」と言われ。

悲しくなる、少しだけ。

「なら来週お出かけしよ」と言うと君に
「いいね、どこに行こうかな」と言われ。

嬉しくなる、少しだけ。

きっと君は叶わない約束を嫌っていて
叶う約束を心から願っていると知った。

「ブラジルとか行ってみる?」と言うと君に
「現実的ではないから無理でしょ」と言われ。

思わずニヤけてしまう、少しだけ。

「なら海岸沿いでもドライブしよ」と言うと君に
「それいいね、カフェにも寄ろうよ!」と言われ。

思わずニヤけてしまう、大胆に。

「どうして笑ってるの?」と聞かれたから君に
「君は素敵な人だね」と目を見て伝えてみると。

「あなたが横にいるから素敵になれるだけだよ」
「あなたがいなければ素敵になれないと思うよ」

君にそんなことを言われてしまい
君と付き合えて良かったと思った。

。。。

それから1週間が経つのは一瞬だった。
様々なことが起こって忙しかったから。

「ドライブでも行こうか」と言うが君は
無言のまま前方方向を見つめているから。

「出発するね」と言うと君の遺影が
頷くような素振りでバタンと倒れた。

叶わない約束を嫌っていた君と
最後に交わした約束だったから
叶えさせようと涙を拭いつつも。

嵐の「One Love」を流して
僕はアクセルを踏み込んだ。

--