2025-09-01
『恋の終わり』

終わった後のことばかりを思う。
まだ終わっていないというのに。

付き合っている恋人とも
いつか離れるのだろうし。

今、好きで食べているものも
いつか好きではなくなるから。

その先ばかりを考える癖がある。
あまり利点があるとは言い難い。

ふと「別れたくないな」と恋人に言った。
恋人は「当たり前でしょ」と笑うけれど。

その笑顔すらもいつの日か
見られなくなるのかと思う。

言葉にはしないけれども
表情で伝わってしまった。

「もしかして別れると思う?」と恋人。
「別れが来ないとしてもだよ」と言い。

「会えなくなる日が絶対に来るじゃん」と続けた。

無言になってしまった恋人を見て
また人を傷付けてしまったと後悔。

「ごめんね」と私は謝ったけれど
「いいよ、」と恋人は寂しそうで
言わなければよかったなんて思う。

「会えなくなる日が来るまで沢山思い出を作ろう」
恋人は気持ちを切り替えて笑顔で言ってきてくれ。

「そうだね、沢山の思い出を作ろう」
私は傷付けたくなくて本音を隠した。

沢山の思い出ができてしまうということは
別れで抱く悲しみが大きくなるということ。

きっと私は、最初から分かり切っていた。
自分は恋人を幸せにできないということ。

終わった後のことばかりが思い浮かび
幸せな思い出を作れないということも。

半年も経たずにこの恋人とは別れた。
原因は言わずもがな、だとは思うが。

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