2025-09-03
『手を繋ぐ』

「今年は無理だったけど」と言って
「来年は一緒に見たいね」と続けた。

きっと、来年の約束をできるのは
お互いが信頼しているからであり
いなくならないと思っているから。

「花火は見れなかったけれど」と
君は残念そうな表情をしていたが。

「一緒にいてくれてありがとう」と
君は目を見て言ってくれたから僕は。

改めて、君のことが好きになった。
愛おしくて離したくないと思った。

「こちらこそありがとうね」と言い
「花火より君のほうが輝いてた」と
僕は君の目を見て言ってみるけれど。

どこか届いていなさそうな表情をされ
「どうした?大丈夫?」と訊いてみる。

「本当に付き合えてよかった」と君は
花火よりも眩しいくらい笑顔で言った。

「あはは」といつも通り笑ってみる。
君もクスッと笑っているようだから。

「浴衣、似合ってるね」と褒めてみると
「え」と照れているみたいで可愛らしい。

顔を手で隠してしまうから僕は
「顔が見えないでしょ」と言い
手を掴んでそのまま繋いでいた。

僕は強く手を繋いだつもりだったけれど
君のほうが力強く繋いでくれていたから。

愛してくれているんだ、と実感できた。
だから僕もギュッと力を込めてみると。

「痛いよ~」と君が言ってくるから
「ごめんごめん」と力を緩めていく。

でも、君の表情がどこか嬉しそうだから
きっと僕と同じように思ったのだろうか。

力を込めてしまうのはきっと
本当に愛してるからだと思う。

親が子供にハグをするとき
ギュッとなってしまう様な。

力を込めてしまうほどに愛。
来年も続いているといいな。

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