2025-09-07
『追悼』
泣きながら目覚めた。
ついさっきまで亡くなった父も含め
家族みんなで1つの机を囲んでいた。
現実ではもう経験することのない
家族団欒を夢で見せてくれたから。
僕は夢の中で泣いてしまっていた。
父が亡くなってもう11年が経つ。
亡くなった当時の悲しみは薄れたけれども
未だ夢の中に現れてくるたび泣いてしまう。
きっとまだ父が生きていたならば
年を重ねて老けたのだろうけれど。
夢に出てくる父は老けることがなく
11年前のまま出てきてくれるから。
僕はどうしても懐かしくて泣いてしまう。
毎週のように爺ちゃん家へ帰ったことも。
僕が頑張っていた習い事を応援するために
仕事を休んでまで応援に来てくれたことも。
授業参観のときに後ろから僕を見てくれて
振り向くたびに微笑んでいてくれたことも。
夢の中では母も姉も何事もないように笑っている。
僕だけが父の死を知っているかのような場だった。
父が「来週、おでかけしようか」と言ってくれた。
母は「いいね、どこに行こうかな」と言っている。
一緒におでかけに行ける日なんて来ない。
僕は悲しくて下を向いて泣いてしまった。
姉が「どうしたの」と聞いてくれるけれど
僕は何も答えることができないままでいた。
泣いているときに目を瞑って真っ暗になり
その流れのまま現実へと引き戻されていた。
やっぱり父はもうこの世にいない、という
喪失感に襲われて僕はまた涙が溢れてきた。
父が亡くなったという事実があったとしても
父に愛されていたという事実も残されている。
幸せ者だよ、僕は。
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『追悼』
泣きながら目覚めた。
ついさっきまで亡くなった父も含め
家族みんなで1つの机を囲んでいた。
現実ではもう経験することのない
家族団欒を夢で見せてくれたから。
僕は夢の中で泣いてしまっていた。
父が亡くなってもう11年が経つ。
亡くなった当時の悲しみは薄れたけれども
未だ夢の中に現れてくるたび泣いてしまう。
きっとまだ父が生きていたならば
年を重ねて老けたのだろうけれど。
夢に出てくる父は老けることがなく
11年前のまま出てきてくれるから。
僕はどうしても懐かしくて泣いてしまう。
毎週のように爺ちゃん家へ帰ったことも。
僕が頑張っていた習い事を応援するために
仕事を休んでまで応援に来てくれたことも。
授業参観のときに後ろから僕を見てくれて
振り向くたびに微笑んでいてくれたことも。
夢の中では母も姉も何事もないように笑っている。
僕だけが父の死を知っているかのような場だった。
父が「来週、おでかけしようか」と言ってくれた。
母は「いいね、どこに行こうかな」と言っている。
一緒におでかけに行ける日なんて来ない。
僕は悲しくて下を向いて泣いてしまった。
姉が「どうしたの」と聞いてくれるけれど
僕は何も答えることができないままでいた。
泣いているときに目を瞑って真っ暗になり
その流れのまま現実へと引き戻されていた。
やっぱり父はもうこの世にいない、という
喪失感に襲われて僕はまた涙が溢れてきた。
父が亡くなったという事実があったとしても
父に愛されていたという事実も残されている。
幸せ者だよ、僕は。
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