先ほど私だって暗殺の危機がある王族が居るというのに、重要な会談の場で一般客がたくさん居るなんておかしいと思っていた。

 けれど、会談相手の希望であるから、それを無理やりにでも叶えたと聞いて、不思議な状況を納得することが出来た。

 相手の希望だって聞かねばならない……大変なお仕事なのだ。

 婚約者である私の誕生日だって、帰りたかったけれど、帰れなかったと何度か謝罪されたこともある。

「ああ。我儘な相手に都合を合わせると、こうなってしまうんだ。仕方ない。国力の差もあり、我が国は無碍に出来ない相手も居る。こうして評判のレストランで会談をしたいと希望されることもあるが、それは叶えられない訳ではないから」

 苦笑しつつ仕事の苦労を話しているレンブラント様に、私の胸は思わずときめいてしまった。

 ……大変な仕事を頑張っていらっしゃるところも、やっぱり素敵だわ。

 いいえ。レンブラント様は、前々から素敵なのよ。冷たく接されていたとしても、私自身だって恋愛指数は高い数値を保っているもの。

 思わずふふっと微笑んでしまい、彼はそんな私を見て、眩しそうに目を細めた。