「プロになりたいんだって。その子バスケしてたんだけど、身長が低くてさ」
「なるほど……騎手は逆に身長制限あって有利か。ちゃんと調べて選んだんだ」
「そうなの。すごいよねー。なんだろ、高校の時からやっぱ違ったけどさ、そういう子ってちゃんと将来的見据えてるっていうか」
「わかる」
うん、と深く一回頷いた。同じ部活でも、プロを目指す子はひと味もふた味も違う。まず覚悟が違う。絶対に目指すんだ、という軸がぶれない。
「大学入った時点で、スカウトも目ぼしい選手には目を付けてるだろうね」
「まじで狭き門って感じ」
「狭き門といえば、トレーナーもそうでしょ」
「ひー! 思い出させないで!」
紬が耳を塞いでみせるその姿が演技じみていて、くすりと笑いを零した。
トレーナーやコーチを目指してこの学部に進学する人も多いが、卒業後すぐになれる人はほとんどいない。プロのアスリートの経験があるほうが当然なりやすく、新卒、未経験でとってくれるところはないに等しい。だから道花たちの就職先として可能性があるのは、一般企業の営業職だったり販売職だったりが多いのだ。その中でもスポーツ用品のメーカーなんかはトップの人気。普通に応募しても、絶対に書類選考すら通らない。
「部活入っといたらよかったかな~、OBのコネ使えるらしいし」
「どうなのかな」
それはそれで、結局は狭き門だろう。先輩のお眼鏡に適わないといけないという意味では、やっぱりどの道を選んでも、誰かと比較の上で評価される。
「道花ははっきりしてるから、見つかれば早そう」
「そんなことない。なんか最近さ、もう、なーんにも分からなくなってきて」
「めっちゃわかる」
全部を投げ出したい、みたいな声色で言うと、紬が弾けるように笑った。
何か問題が解決するわけでも、話が前に進むわけでもない。それでもこうして話していると、どこか安心するのが不思議だ。
これが大学生活の醍醐味と思えば、そうなのかもしれない。
「なるほど……騎手は逆に身長制限あって有利か。ちゃんと調べて選んだんだ」
「そうなの。すごいよねー。なんだろ、高校の時からやっぱ違ったけどさ、そういう子ってちゃんと将来的見据えてるっていうか」
「わかる」
うん、と深く一回頷いた。同じ部活でも、プロを目指す子はひと味もふた味も違う。まず覚悟が違う。絶対に目指すんだ、という軸がぶれない。
「大学入った時点で、スカウトも目ぼしい選手には目を付けてるだろうね」
「まじで狭き門って感じ」
「狭き門といえば、トレーナーもそうでしょ」
「ひー! 思い出させないで!」
紬が耳を塞いでみせるその姿が演技じみていて、くすりと笑いを零した。
トレーナーやコーチを目指してこの学部に進学する人も多いが、卒業後すぐになれる人はほとんどいない。プロのアスリートの経験があるほうが当然なりやすく、新卒、未経験でとってくれるところはないに等しい。だから道花たちの就職先として可能性があるのは、一般企業の営業職だったり販売職だったりが多いのだ。その中でもスポーツ用品のメーカーなんかはトップの人気。普通に応募しても、絶対に書類選考すら通らない。
「部活入っといたらよかったかな~、OBのコネ使えるらしいし」
「どうなのかな」
それはそれで、結局は狭き門だろう。先輩のお眼鏡に適わないといけないという意味では、やっぱりどの道を選んでも、誰かと比較の上で評価される。
「道花ははっきりしてるから、見つかれば早そう」
「そんなことない。なんか最近さ、もう、なーんにも分からなくなってきて」
「めっちゃわかる」
全部を投げ出したい、みたいな声色で言うと、紬が弾けるように笑った。
何か問題が解決するわけでも、話が前に進むわけでもない。それでもこうして話していると、どこか安心するのが不思議だ。
これが大学生活の醍醐味と思えば、そうなのかもしれない。
