学校に行きたい。
友達が欲しい。
学びたい。
そんな当たり前のことができない私。
「なんで、なんで、なんでこうなったの?」
私、何も悪いことなんてしてないのに、なんで、みんな私を避けるの?
あんなのでこうなるなんて思ってなかった・・・。
中学校の入学式が終わって教室で自己紹介をした無夢《むむ》。
『あっ、初めまして。私、無夢《むむ》って言います。よろしくお願いします』
本当ならこの時、みんなと同じように趣味や特技を言えば良かったのに、無夢《むむ》は緊張して自分の名前を言うだけで精一杯だった。
でも、それを知らなかったみんなは無夢《むむ》にあることを質問した。
『ねえ、あんたの目、本物じゃないでしょ?』
中学生なのに金髪で濃いメイクでネイルで爪が長くてめちゃくちゃな一番関わりたくないタイプからの質問に、無夢《むむ》は素直にこう答えた。
『私の目は生まれた時からこの色です。両親は、違うけど・・・』
そう、無夢《むむ》の目は普通の黒髪とは全く似合わない誰もを魅了させる綺麗で可愛らしい薄紫色。
生まれた時から普通の色ではなかったが、両親から今まで大切に育てられた特別な無夢《むむ》。
けれど、それを知らないタイプはまた質問をした。
『ふっ、じゃあさー、私の目と交換してくれない?』
『えっ』
『私さー、正直嫌いなんだよねー。せっかく髪染めても、目の色が変えられないのがマジでムカつくんだよねー』
『・・・そう、なんだ』
『そうそう。色なら他のやり方があるのも知ってるけどー、やっぱ、目自体を変えたら文句ないよね?』
その言葉を聞いた無夢《むむ》は心の底から怖くなって体中が震え出してタイプから目を逸らした。
『はあっ、は、あ・・・』
怖い。
なんで、なんで、なんでそういうこと言えるの?
私の目は誰にもあげたくない。
そんなことしたって何も意味なんてな
『ねえー、聞いてるの? 目逸らすとか、マジで嫌なんだけどー?』
無夢《むむ》から目を逸らされてムカついたタイプが楽しそうに面白そうに笑いながら無夢《むむ》の顎を右手で掴んで左手を出した瞬間だった。
『あああああああああああああっ!』
左手で殴られそうだった無夢《むむ》が偶然しゃがみ込んで無意識にタイプの右足を蹴った。
『・・・・・・』
えっ。
今、私、何をしたの?
殴られるのが分かったからしゃがんでこの子の足を蹴った・・・これ、結構ダメなはず。
どうしよう、先生に怒られる、パパとママに怒られる。
・・・そんなの嫌!
わざとじゃゃなくても、人の足を蹴ってはいけないことは当然無夢《むむ》も理解していた。
いたのに、それをしてしまった無夢《むむ》を誰も許してくれなかった。
『あんたなんて消えればいいのに!』
そう言われて思い切り頬を叩かれた無夢《むむ》は次の日から四ヶ月経った九月まで学校に行っていない。
私って、何のために生きてるんだろう?
学校にもいけない。
友達もいない。
何が正しいのかが分からない。
「私にとって学校は夢の場所なのに、なんで、なんで私は学校に行けないの! 行きたい気持ちは強いのに、体が嫌がって動いてくれない! もう、どうすれば良い」
「そんなの言い訳よ。言い訳が言えるなら、早く学校に行きなさい」
学校に行かなくなってから、両親は無夢《むむ》に冷たくなった。
毎日毎日無駄なことを叫ぶ無夢《むむ》に呆れた母親は娘を優しく見つめる瞳ではなく、人間の心を失った汚い生き物を無の瞳で見つめるようになった。
だから。
「お前はいつからそうなったの? 学校に行かなくなって毎日先生から電話がかかるのは誰のせいか、お前は分かっているの?」
大声を上げて怒ることはない。
ただ、静かに落ち着いて文句を言う母親。
けれど、無夢《むむ》は自分の気持ちをはっきりと母親の瞳を真剣に見て伝えようとする。
「ママ、違うの! 私は学校に行きたい、行きたいけど、体が動いてくれないの。多分、行っても、クラスのみんなから何か言われるのが怖いから、言うことを聞いてくれな」
「それも言い訳だって何で分からないのかしら?」
何を言っても無夢《むむ》が言ったことは全て「言い訳」だと決めつける。
「学校に行かない」
「学校に行けない」
たった一文字で全く意味を変えてしまう。
友達が欲しい。
学びたい。
そんな当たり前のことができない私。
「なんで、なんで、なんでこうなったの?」
私、何も悪いことなんてしてないのに、なんで、みんな私を避けるの?
あんなのでこうなるなんて思ってなかった・・・。
中学校の入学式が終わって教室で自己紹介をした無夢《むむ》。
『あっ、初めまして。私、無夢《むむ》って言います。よろしくお願いします』
本当ならこの時、みんなと同じように趣味や特技を言えば良かったのに、無夢《むむ》は緊張して自分の名前を言うだけで精一杯だった。
でも、それを知らなかったみんなは無夢《むむ》にあることを質問した。
『ねえ、あんたの目、本物じゃないでしょ?』
中学生なのに金髪で濃いメイクでネイルで爪が長くてめちゃくちゃな一番関わりたくないタイプからの質問に、無夢《むむ》は素直にこう答えた。
『私の目は生まれた時からこの色です。両親は、違うけど・・・』
そう、無夢《むむ》の目は普通の黒髪とは全く似合わない誰もを魅了させる綺麗で可愛らしい薄紫色。
生まれた時から普通の色ではなかったが、両親から今まで大切に育てられた特別な無夢《むむ》。
けれど、それを知らないタイプはまた質問をした。
『ふっ、じゃあさー、私の目と交換してくれない?』
『えっ』
『私さー、正直嫌いなんだよねー。せっかく髪染めても、目の色が変えられないのがマジでムカつくんだよねー』
『・・・そう、なんだ』
『そうそう。色なら他のやり方があるのも知ってるけどー、やっぱ、目自体を変えたら文句ないよね?』
その言葉を聞いた無夢《むむ》は心の底から怖くなって体中が震え出してタイプから目を逸らした。
『はあっ、は、あ・・・』
怖い。
なんで、なんで、なんでそういうこと言えるの?
私の目は誰にもあげたくない。
そんなことしたって何も意味なんてな
『ねえー、聞いてるの? 目逸らすとか、マジで嫌なんだけどー?』
無夢《むむ》から目を逸らされてムカついたタイプが楽しそうに面白そうに笑いながら無夢《むむ》の顎を右手で掴んで左手を出した瞬間だった。
『あああああああああああああっ!』
左手で殴られそうだった無夢《むむ》が偶然しゃがみ込んで無意識にタイプの右足を蹴った。
『・・・・・・』
えっ。
今、私、何をしたの?
殴られるのが分かったからしゃがんでこの子の足を蹴った・・・これ、結構ダメなはず。
どうしよう、先生に怒られる、パパとママに怒られる。
・・・そんなの嫌!
わざとじゃゃなくても、人の足を蹴ってはいけないことは当然無夢《むむ》も理解していた。
いたのに、それをしてしまった無夢《むむ》を誰も許してくれなかった。
『あんたなんて消えればいいのに!』
そう言われて思い切り頬を叩かれた無夢《むむ》は次の日から四ヶ月経った九月まで学校に行っていない。
私って、何のために生きてるんだろう?
学校にもいけない。
友達もいない。
何が正しいのかが分からない。
「私にとって学校は夢の場所なのに、なんで、なんで私は学校に行けないの! 行きたい気持ちは強いのに、体が嫌がって動いてくれない! もう、どうすれば良い」
「そんなの言い訳よ。言い訳が言えるなら、早く学校に行きなさい」
学校に行かなくなってから、両親は無夢《むむ》に冷たくなった。
毎日毎日無駄なことを叫ぶ無夢《むむ》に呆れた母親は娘を優しく見つめる瞳ではなく、人間の心を失った汚い生き物を無の瞳で見つめるようになった。
だから。
「お前はいつからそうなったの? 学校に行かなくなって毎日先生から電話がかかるのは誰のせいか、お前は分かっているの?」
大声を上げて怒ることはない。
ただ、静かに落ち着いて文句を言う母親。
けれど、無夢《むむ》は自分の気持ちをはっきりと母親の瞳を真剣に見て伝えようとする。
「ママ、違うの! 私は学校に行きたい、行きたいけど、体が動いてくれないの。多分、行っても、クラスのみんなから何か言われるのが怖いから、言うことを聞いてくれな」
「それも言い訳だって何で分からないのかしら?」
何を言っても無夢《むむ》が言ったことは全て「言い訳」だと決めつける。
「学校に行かない」
「学校に行けない」
たった一文字で全く意味を変えてしまう。


