「なんか疲れた…このまま村、行く?」
トカゲがいきなり襲ってきたのが衝撃だったのか私含めて全員が黙っていた。ようやく口を開いたのは舞斗くんだった。
んみゃ〜お
「行きたいにゃ!でもみるくがみんにゃを引き止めた原因…。ごめんにゃさい」
「大丈夫大丈夫!だってみるくかっこよかったじゃん」
「そう言うことじゃにゃいって」
「あ…。ごめん」
「なんか立場逆転してるな」
「そうだな」
「確かに〜」
ん?そうだなって言ったの誰?知らない声だったけど。
「ん?あ、俺は主様が言う名前で言うとくろ。なんかみるくの力の余波がこっちに来てなぜか人になった。こっちの方が便利そうだし基本こっちにする。よろしく」
「あ、くろだったんだ。よろしく!」
「本名は」
「言わにゃくて大丈夫だよ!くろ。だって、だって。まあいいや、とにかく言わないでよ!くろ!」
「お、おう」
「村に行こうにゃー!って村どこ?」
確かに村どこだろ。地図もないし。
「僕の存在を忘れないでよ!僕が案内するって言ったじゃないか」
「ごめんごめん。じゃあしゅっぱーつ」
どんな村だろう、畑がいっぱいあるのかな。もしかしたら妖怪もいるのかな。
「今から霧ヶ丘ってところに行くから、しっかり着いてきてね。うーん、あそこ見通しが悪いし暗いから灯りが必要かな」
暗いの⁈暗いとおばけ出てきそうだから怖いんだよね…
って何で妖怪は怖くないのにお化けは怖いんだろ。
「そうだ。小さな灯、これなら少しはマシになるかな」
おぉ、小さな火が出た。これなら明るくなりそうって熱くないの?
まあ熱くないか、自分の力だし。
そんなことをぼんやりと思いながら舞斗くんについて行ったはずだった。
突然頭が真っ白になり、気がつくと舞斗くんたちがいなくなっていた。
周りは霧でぼんやりしていて周り一面木ばかり。道から外れてしまったようで地面にも村への手がかりはない。
こんな時に誰かがいたら、とりあえず安心できるのに。
誰か、お願い。一人でも私を見つけて。
無意識に強く念じる。すると風がスーッと通り過ぎていった。その時、「葉っぱを拾って持って念じて」と聞こえたような気がした。
その声が言ったことをすると何が起こるかもわからないが、信じてみようと葉っぱを拾い、念じてみた。
すると葉っぱが一瞬光ったかと思うと、葉っぱがふわりと浮き私の前へ行くと葉っぱが煙を帯びると小さな角が生えていて、小さな小悪魔の翼と小悪魔の尻尾が付いている、私より少し年下のような女の子がニコニコで現れた。
いつの間にか葉っぱは消えていた。
「あたいは小悪魔のようね!漢字だと葉っぱの葉に音色の音で葉音!何で来たのが小悪魔なんだって?あたいはこの森を守ってる木の一部!攻撃する側のね。だからあたいは小悪魔なんだよ」
「へぇ、そうなんだ。じゃあ村に案内してくれない?」
「いいぞ!あたいにかかればすぐさ!あとあたいはあんたの式神になったからこの葉っぱを持って名前を言いながら出てこいって念じたらすぐに出てくるから。これからよろしくな!」
言ってることがちょっとわかんないところもあるけど大体は分かった。
つまり私は式神を呼び出せたってこと。空振り頭突きからの急成長だ。
もうそろそろ案内をして欲しいから声をかける。
「ねえねえ、もうそろそろ村に案内してよ」
「よし、分かった!じゃあちゃーんとついてきてよ!あたい結構足速いんだから」
前回の反省を活かしちゃんとしっかり葉音ちゃんを見て歩く。
不思議なことに葉音ちゃんの周りは霧がなくなる。まるで葉音ちゃんを避けているようだ。
「なんで葉音ちゃんの周りの霧は避けてるの?」
何気なく聞くと、急に悲しそうな顔になって小さな声で言った。
「あたいは小悪魔だけど精霊みたいな仕事してる。つまり森を守ってるのさ。なぜか森守ってると大体静かになるけどあたいだけうるさいまま。だから静かな奴らはあたいを嫌うから。嫌ってる奴は霧の精霊みたいな天使もいる。嫌われ者だから避けられるのさ」
「そうなんだ。なんか聞いちゃってごめんね」
謝ると元の明るい顔に戻って喋る。
「大丈夫!だってあたいのこと嫌ってない人は初めてだし式神になったからこの森から離れられるからね!」
「よかった。あのさ、そういえばどういう村に行くの?」
「霧隠村。妖の末裔、人でも妖でもない者が暮らしているところさ!あんたと一緒にいた茶髪の男、狐火舞斗も妖の末裔だよ!あたいが言っちゃっていいのかわかんないけど妖狐の末裔!」
「え、そうなんだ」
舞斗くんって妖狐の末裔だったんだ…。初耳。
「ほら、もうすぐ!霧隠村着くよー!ほら、すぐついた!」
言われて前を見る。木しかない。
「ここである言葉を唱えるのさ。『妖、人、どちらにも属しない村』。そうすると木が門みたいに避けていって村に入れるぞ!」
「すごい…!そんなカラクリが!」
「霧隠村の外のすぐ近くにあんたのツレがいるはずさ。だから言葉を教える必要はないけど一応!あたいはあんたのポーチに入るから呼び出したくなったらいつでも呼んでよな!」
ポーチ?あ、ズボンになんか付いてる。
そういえば私の姿ってどんな感じなんだろ…服は前の姿と似てる、白いパーカーに黄色のフレアパンツ。そこに何故か小さなポーチが。
髪とかは見れないけどまあいいか。
「あ!よかった…。探したよ朱音さん。急にオーラがなくなる…いや、なんでもない。とにかく見つかってよかったよ」
「主人〜、心配だったんだよ!みるくの妖術でも全然見つからにゃいし!」
「俺もできる限りのことはしたが見つけられなかった…。不安にさせてすまん」
「いやいや、大丈夫だよ!私には葉音ちゃんがいたから」
「「「ようねちゃん?」」」
あ、そっか。三人?いや、一人と二匹は葉音ちゃんのこと知らないか。
えっと、葉っぱを出して、「葉音ちゃん」って言いながら出てきてって願う…
「葉音ちゃん葉音ちゃん」
「はいはい!来たよ!あとそんなに連呼したら怖いって。あ、あんたらは朱音ねえのツレか」
「ツレ⁈僕らのこと⁈ま、まあそうだけど…」
朱音ねえって、え?
「あたいの名前は葉音!漢字は葉っぱの葉に音色の音!朱音ねえの式神なの、よろしく!」
「よ、よろしくね」
「よろしくにゃの」
「よろしく」
無事に舞斗くんたちと合流し、村に入る準備が整った。
「えーっと、『妖、人、どちらにも属さない村』。これってなんかそのままなんだよね」
ガシャリ
木がガシャリと鳴って一つの場所を避ける。その先に、ほのかな灯りが見えた。
「わぁ…村だ!」
「やっとついた!ここまでがにゃがかったよ…」
緊張しながらそろりと村に入ると、畑仕事を終えたらしい年老いた村人がこちらに気づいて笑顔で手を振ってきた。
「おや、旅の方かい? ようこそ霧隠村へ。ここにくるとは珍しいねえ」
そのおじいさんの温かい声に、胸の奥がじんわりしていく。
不思議な森を抜けて、やっと誰かのぬくもりに触れられた気がした。
トカゲがいきなり襲ってきたのが衝撃だったのか私含めて全員が黙っていた。ようやく口を開いたのは舞斗くんだった。
んみゃ〜お
「行きたいにゃ!でもみるくがみんにゃを引き止めた原因…。ごめんにゃさい」
「大丈夫大丈夫!だってみるくかっこよかったじゃん」
「そう言うことじゃにゃいって」
「あ…。ごめん」
「なんか立場逆転してるな」
「そうだな」
「確かに〜」
ん?そうだなって言ったの誰?知らない声だったけど。
「ん?あ、俺は主様が言う名前で言うとくろ。なんかみるくの力の余波がこっちに来てなぜか人になった。こっちの方が便利そうだし基本こっちにする。よろしく」
「あ、くろだったんだ。よろしく!」
「本名は」
「言わにゃくて大丈夫だよ!くろ。だって、だって。まあいいや、とにかく言わないでよ!くろ!」
「お、おう」
「村に行こうにゃー!って村どこ?」
確かに村どこだろ。地図もないし。
「僕の存在を忘れないでよ!僕が案内するって言ったじゃないか」
「ごめんごめん。じゃあしゅっぱーつ」
どんな村だろう、畑がいっぱいあるのかな。もしかしたら妖怪もいるのかな。
「今から霧ヶ丘ってところに行くから、しっかり着いてきてね。うーん、あそこ見通しが悪いし暗いから灯りが必要かな」
暗いの⁈暗いとおばけ出てきそうだから怖いんだよね…
って何で妖怪は怖くないのにお化けは怖いんだろ。
「そうだ。小さな灯、これなら少しはマシになるかな」
おぉ、小さな火が出た。これなら明るくなりそうって熱くないの?
まあ熱くないか、自分の力だし。
そんなことをぼんやりと思いながら舞斗くんについて行ったはずだった。
突然頭が真っ白になり、気がつくと舞斗くんたちがいなくなっていた。
周りは霧でぼんやりしていて周り一面木ばかり。道から外れてしまったようで地面にも村への手がかりはない。
こんな時に誰かがいたら、とりあえず安心できるのに。
誰か、お願い。一人でも私を見つけて。
無意識に強く念じる。すると風がスーッと通り過ぎていった。その時、「葉っぱを拾って持って念じて」と聞こえたような気がした。
その声が言ったことをすると何が起こるかもわからないが、信じてみようと葉っぱを拾い、念じてみた。
すると葉っぱが一瞬光ったかと思うと、葉っぱがふわりと浮き私の前へ行くと葉っぱが煙を帯びると小さな角が生えていて、小さな小悪魔の翼と小悪魔の尻尾が付いている、私より少し年下のような女の子がニコニコで現れた。
いつの間にか葉っぱは消えていた。
「あたいは小悪魔のようね!漢字だと葉っぱの葉に音色の音で葉音!何で来たのが小悪魔なんだって?あたいはこの森を守ってる木の一部!攻撃する側のね。だからあたいは小悪魔なんだよ」
「へぇ、そうなんだ。じゃあ村に案内してくれない?」
「いいぞ!あたいにかかればすぐさ!あとあたいはあんたの式神になったからこの葉っぱを持って名前を言いながら出てこいって念じたらすぐに出てくるから。これからよろしくな!」
言ってることがちょっとわかんないところもあるけど大体は分かった。
つまり私は式神を呼び出せたってこと。空振り頭突きからの急成長だ。
もうそろそろ案内をして欲しいから声をかける。
「ねえねえ、もうそろそろ村に案内してよ」
「よし、分かった!じゃあちゃーんとついてきてよ!あたい結構足速いんだから」
前回の反省を活かしちゃんとしっかり葉音ちゃんを見て歩く。
不思議なことに葉音ちゃんの周りは霧がなくなる。まるで葉音ちゃんを避けているようだ。
「なんで葉音ちゃんの周りの霧は避けてるの?」
何気なく聞くと、急に悲しそうな顔になって小さな声で言った。
「あたいは小悪魔だけど精霊みたいな仕事してる。つまり森を守ってるのさ。なぜか森守ってると大体静かになるけどあたいだけうるさいまま。だから静かな奴らはあたいを嫌うから。嫌ってる奴は霧の精霊みたいな天使もいる。嫌われ者だから避けられるのさ」
「そうなんだ。なんか聞いちゃってごめんね」
謝ると元の明るい顔に戻って喋る。
「大丈夫!だってあたいのこと嫌ってない人は初めてだし式神になったからこの森から離れられるからね!」
「よかった。あのさ、そういえばどういう村に行くの?」
「霧隠村。妖の末裔、人でも妖でもない者が暮らしているところさ!あんたと一緒にいた茶髪の男、狐火舞斗も妖の末裔だよ!あたいが言っちゃっていいのかわかんないけど妖狐の末裔!」
「え、そうなんだ」
舞斗くんって妖狐の末裔だったんだ…。初耳。
「ほら、もうすぐ!霧隠村着くよー!ほら、すぐついた!」
言われて前を見る。木しかない。
「ここである言葉を唱えるのさ。『妖、人、どちらにも属しない村』。そうすると木が門みたいに避けていって村に入れるぞ!」
「すごい…!そんなカラクリが!」
「霧隠村の外のすぐ近くにあんたのツレがいるはずさ。だから言葉を教える必要はないけど一応!あたいはあんたのポーチに入るから呼び出したくなったらいつでも呼んでよな!」
ポーチ?あ、ズボンになんか付いてる。
そういえば私の姿ってどんな感じなんだろ…服は前の姿と似てる、白いパーカーに黄色のフレアパンツ。そこに何故か小さなポーチが。
髪とかは見れないけどまあいいか。
「あ!よかった…。探したよ朱音さん。急にオーラがなくなる…いや、なんでもない。とにかく見つかってよかったよ」
「主人〜、心配だったんだよ!みるくの妖術でも全然見つからにゃいし!」
「俺もできる限りのことはしたが見つけられなかった…。不安にさせてすまん」
「いやいや、大丈夫だよ!私には葉音ちゃんがいたから」
「「「ようねちゃん?」」」
あ、そっか。三人?いや、一人と二匹は葉音ちゃんのこと知らないか。
えっと、葉っぱを出して、「葉音ちゃん」って言いながら出てきてって願う…
「葉音ちゃん葉音ちゃん」
「はいはい!来たよ!あとそんなに連呼したら怖いって。あ、あんたらは朱音ねえのツレか」
「ツレ⁈僕らのこと⁈ま、まあそうだけど…」
朱音ねえって、え?
「あたいの名前は葉音!漢字は葉っぱの葉に音色の音!朱音ねえの式神なの、よろしく!」
「よ、よろしくね」
「よろしくにゃの」
「よろしく」
無事に舞斗くんたちと合流し、村に入る準備が整った。
「えーっと、『妖、人、どちらにも属さない村』。これってなんかそのままなんだよね」
ガシャリ
木がガシャリと鳴って一つの場所を避ける。その先に、ほのかな灯りが見えた。
「わぁ…村だ!」
「やっとついた!ここまでがにゃがかったよ…」
緊張しながらそろりと村に入ると、畑仕事を終えたらしい年老いた村人がこちらに気づいて笑顔で手を振ってきた。
「おや、旅の方かい? ようこそ霧隠村へ。ここにくるとは珍しいねえ」
そのおじいさんの温かい声に、胸の奥がじんわりしていく。
不思議な森を抜けて、やっと誰かのぬくもりに触れられた気がした。
