ここで留まるのはつまんないな、と思いくろとみるくに行くよと言って歩いた。
人里も見つからずどうしようと思っていると人影が見えた。
くろが真っ先にその人影めがけて走り出す。
もし本当に人だったら、くろが噛みついてしまうかもしれない。
…それはまずい。
私とみるくはくろを捕まえようと走る。
くろは意外にもとても速く、やっとのことで追いついた。
「く…ろ、ダメでしょ…。急に走り…だしたら」
息を切らしながらくろを叱ると、クゥーンと鳴いて後ろを見る。
そこには私と同い年、14歳の少年のような童顔の人が立っていた。
「…大丈夫?」
少年は少し驚いた表情を浮かべて、優しそうに問いかけてきた。
「うん、くろが急に走りだして、私は追いつけなかっただけだからね」 私は軽く言葉を返した。正直、男と関わることはあまりないから少し恥ずかしかったけど、相手はそれに気づく気配はないらしい。
少年はちょっと笑って、くろに向かって「元気だな、このワンちゃん」と言いながら、くろを優しく撫でる。
私はその様子をぼーっと見つめていたが、何となく感じるのは、この人話しやすいな、と思ったことくらいだった。
「君、迷子?」 少年が問いかけてきた。
「迷子、っていうか…まあ、ちょっとね」
私は少し言葉を濁した。実際、異世界に来たばかりで、どこに行けばいいのか全然分からないのだ。
少年はしばらく私を見ていたが、「そっか」とだけ言って、またニコっと笑う。 その笑顔に少しだけ「なんだかいい人だな」と思ったけど、それがどういう意味かはよく分からなかった。
「そういえば君、名前なんていうの?」
突如そう聞かれた。
生前の名前を言えばいいのか、新しく名前を作ればいいのか迷ってつい顔を顰めてしまう。
「あ、僕の名前は狐火 舞斗。異能は「狐の宴火」。火を作り出し操る、だよ。僕は普通異能は普通は言わないんだけどね。君はなぜかわからないけど信用できるから」
聞きながらも名前を精一杯考える。
苗字は山田?早丘?思いつくものたくさんありすぎて決まらない。
「あの、私こことは違う世界から来たの。だから異能とかわかんないし名前も前のにすればいいのかわからない。あ、前の名前はちょっと恥ずかしいから苗字は抜くね。生前の名前は、ひらがなであかねっていう名前だったの」
相手も私を信用して秘密のような大切な情報らしきものを教えてくれたので私も秘密をできる限り全て教えた。
違う世界から来たと言っても怖がる動作はせずに優しく答えた。
「あぁ、そうだったんだ。教えてくれてありがとう。まさかここ以外の世界があるなんて僕もびっくりだよ!えっと、名前、考えたんだけど言ってもいいかな?」
「え⁈もちろんいいよ!ありがとう」
「よかった。えっとね、神崎 朱音っていうのはどうかな。勝手でごめんね」
神崎 朱音、と心の中で唱える。
響きもいいしなにより前の名前も使えていい。
いい名前で嬉しくて
「めっちゃいいね!ありがとう!」
と私はにこにこで答えるが、
しばらく沈黙が続き、狐火さん?くん?が、顔を少し赤くし恥ずかしそうに「ありがとう」
とボソリと呟いた。
またしばらく沈黙が続き、こんどは私は最初に言う番だと勝手に思い呼び方について聞いてみようと「なんて呼べばいい?」と聞くと
「あんまり馴れ馴れしすぎないならなんでもいいよ」
狐火くん、か…。なんだか可愛い名前だなと思いながら、
「狐火くんと呼ぶことにするね!」
と返事をした。すると突然聞かれた。
「そういえば君は和神話って知ってる?知っておいた方が馴染みやすいと思うんだけど…」
「和神話」って何だろう? 私の好奇心が刺激されてしまった。一度反応すると、もうそのことが頭から離れなくなった。
「知らない!でも、知りたい!」
無意識のうちに答えてしまっていて、気づいた頃には狐火くんは目を大きく見開き、驚いたような顔をしている。
なぜか謝りたい気持ちでなく、恥ずかしいという気持ちの方が強かった。
「う、うん。教えてあげるよ。僕が読んだ書物に書いてあったのなぜか全部覚えているから僕口調じゃあなくなるけどね、じゃあ話すよ。」
———————————————————————————————————————————————––
とーっても昔のお話。
人々と妖族が出会って、妖術が人々も使えるようになってから数年経った頃のお話。
あるところに一人の小さな女の子がいました。
その女の子は特別な病気を持っていました。
いや、病気ではなく体質かもしれません。
体質と言っていきましょうか。
女の子は生まれつき妖術を使うとそれで出したりしたものが黒色になってしまう体質でした。
そのせいで他の人に闇の子だと嫌われて、暴力を振るわれ、暴力を振るわない者は見て見ぬフリをしていて、女の子は体も心もとてもボロボロでした。
ですがそんな女の子に空から金色の衣を纏った美しい女神様が降りてきました。
女神様の右には、黒い柴犬のような狛犬が。左には真っ白の猫又がいました。
「あら、かわいそうな女の子。どうして夫はこんな子を放置していたのでしょう。ついてきなさい、私があなたにぴったりの街作りと呪文作りを手伝ってあげるわ」
女の子はその言葉を聞いた瞬間から目に光が浮かび上がりました。
でも、それは純粋な白ではなく、少し濁った灰色でした。
それから女の子は女神様の力を借りて一軒家‘だけ’建てました。
そして外にはそれぞれ関連のあるものだけ売っている無人のお店を建て、在庫がなくなったら自動的に追加される機能が追加されました。
ただ、「便利」と「一人でいたい」という気持ちだけを追い求めた街でした。
そして呪文を考えようと一人で一生懸命考えました。
そして、ラグネヴという単語を思いつきました。
その呪文の形は、他では全く使われない英名のような形でした。
いろいろと時間が過ぎて行き目的の街作りと呪文作りは終わりました。
最後に作った呪文で蝶々を生み出しました。
その蝶々は闇のように真っ黒で、光がありませんでした。
女神様たちが帰ろうとした時、狛犬と猫又は哀れみの目を向けていたのだが、女の子の今の状況では興奮し過ぎて分かりませんでした。
そして女の子が独自の街を発展させ、今ではその街は黒いので、「暗黒街」と呼ばれ一部の者しか近寄らない謎の街となり、ラグネヴの呪文は危険過ぎて禁断妖術となりましたが、女の子はとっても幸せになった、はずですね。
———————————————————————————————————————————––————––
「こんな感じだよ、どう?」
首筋に汗が一つ流れていた。少し恥ずかしかったのだろう
うーん、やっぱりハッピーエンドだったよね?
「女の子、幸せになれてよかったね!」
これしか言えない。
「そう?結構不穏じゃあなかった?」
そうかな、ちっちゃい頃に鈍感って言われたことあるし鈍感すぎてわかんないのかな…
この物語が本当は私たちについて関係あるなんて思ってもみなかった。
人里も見つからずどうしようと思っていると人影が見えた。
くろが真っ先にその人影めがけて走り出す。
もし本当に人だったら、くろが噛みついてしまうかもしれない。
…それはまずい。
私とみるくはくろを捕まえようと走る。
くろは意外にもとても速く、やっとのことで追いついた。
「く…ろ、ダメでしょ…。急に走り…だしたら」
息を切らしながらくろを叱ると、クゥーンと鳴いて後ろを見る。
そこには私と同い年、14歳の少年のような童顔の人が立っていた。
「…大丈夫?」
少年は少し驚いた表情を浮かべて、優しそうに問いかけてきた。
「うん、くろが急に走りだして、私は追いつけなかっただけだからね」 私は軽く言葉を返した。正直、男と関わることはあまりないから少し恥ずかしかったけど、相手はそれに気づく気配はないらしい。
少年はちょっと笑って、くろに向かって「元気だな、このワンちゃん」と言いながら、くろを優しく撫でる。
私はその様子をぼーっと見つめていたが、何となく感じるのは、この人話しやすいな、と思ったことくらいだった。
「君、迷子?」 少年が問いかけてきた。
「迷子、っていうか…まあ、ちょっとね」
私は少し言葉を濁した。実際、異世界に来たばかりで、どこに行けばいいのか全然分からないのだ。
少年はしばらく私を見ていたが、「そっか」とだけ言って、またニコっと笑う。 その笑顔に少しだけ「なんだかいい人だな」と思ったけど、それがどういう意味かはよく分からなかった。
「そういえば君、名前なんていうの?」
突如そう聞かれた。
生前の名前を言えばいいのか、新しく名前を作ればいいのか迷ってつい顔を顰めてしまう。
「あ、僕の名前は狐火 舞斗。異能は「狐の宴火」。火を作り出し操る、だよ。僕は普通異能は普通は言わないんだけどね。君はなぜかわからないけど信用できるから」
聞きながらも名前を精一杯考える。
苗字は山田?早丘?思いつくものたくさんありすぎて決まらない。
「あの、私こことは違う世界から来たの。だから異能とかわかんないし名前も前のにすればいいのかわからない。あ、前の名前はちょっと恥ずかしいから苗字は抜くね。生前の名前は、ひらがなであかねっていう名前だったの」
相手も私を信用して秘密のような大切な情報らしきものを教えてくれたので私も秘密をできる限り全て教えた。
違う世界から来たと言っても怖がる動作はせずに優しく答えた。
「あぁ、そうだったんだ。教えてくれてありがとう。まさかここ以外の世界があるなんて僕もびっくりだよ!えっと、名前、考えたんだけど言ってもいいかな?」
「え⁈もちろんいいよ!ありがとう」
「よかった。えっとね、神崎 朱音っていうのはどうかな。勝手でごめんね」
神崎 朱音、と心の中で唱える。
響きもいいしなにより前の名前も使えていい。
いい名前で嬉しくて
「めっちゃいいね!ありがとう!」
と私はにこにこで答えるが、
しばらく沈黙が続き、狐火さん?くん?が、顔を少し赤くし恥ずかしそうに「ありがとう」
とボソリと呟いた。
またしばらく沈黙が続き、こんどは私は最初に言う番だと勝手に思い呼び方について聞いてみようと「なんて呼べばいい?」と聞くと
「あんまり馴れ馴れしすぎないならなんでもいいよ」
狐火くん、か…。なんだか可愛い名前だなと思いながら、
「狐火くんと呼ぶことにするね!」
と返事をした。すると突然聞かれた。
「そういえば君は和神話って知ってる?知っておいた方が馴染みやすいと思うんだけど…」
「和神話」って何だろう? 私の好奇心が刺激されてしまった。一度反応すると、もうそのことが頭から離れなくなった。
「知らない!でも、知りたい!」
無意識のうちに答えてしまっていて、気づいた頃には狐火くんは目を大きく見開き、驚いたような顔をしている。
なぜか謝りたい気持ちでなく、恥ずかしいという気持ちの方が強かった。
「う、うん。教えてあげるよ。僕が読んだ書物に書いてあったのなぜか全部覚えているから僕口調じゃあなくなるけどね、じゃあ話すよ。」
———————————————————————————————————————————————––
とーっても昔のお話。
人々と妖族が出会って、妖術が人々も使えるようになってから数年経った頃のお話。
あるところに一人の小さな女の子がいました。
その女の子は特別な病気を持っていました。
いや、病気ではなく体質かもしれません。
体質と言っていきましょうか。
女の子は生まれつき妖術を使うとそれで出したりしたものが黒色になってしまう体質でした。
そのせいで他の人に闇の子だと嫌われて、暴力を振るわれ、暴力を振るわない者は見て見ぬフリをしていて、女の子は体も心もとてもボロボロでした。
ですがそんな女の子に空から金色の衣を纏った美しい女神様が降りてきました。
女神様の右には、黒い柴犬のような狛犬が。左には真っ白の猫又がいました。
「あら、かわいそうな女の子。どうして夫はこんな子を放置していたのでしょう。ついてきなさい、私があなたにぴったりの街作りと呪文作りを手伝ってあげるわ」
女の子はその言葉を聞いた瞬間から目に光が浮かび上がりました。
でも、それは純粋な白ではなく、少し濁った灰色でした。
それから女の子は女神様の力を借りて一軒家‘だけ’建てました。
そして外にはそれぞれ関連のあるものだけ売っている無人のお店を建て、在庫がなくなったら自動的に追加される機能が追加されました。
ただ、「便利」と「一人でいたい」という気持ちだけを追い求めた街でした。
そして呪文を考えようと一人で一生懸命考えました。
そして、ラグネヴという単語を思いつきました。
その呪文の形は、他では全く使われない英名のような形でした。
いろいろと時間が過ぎて行き目的の街作りと呪文作りは終わりました。
最後に作った呪文で蝶々を生み出しました。
その蝶々は闇のように真っ黒で、光がありませんでした。
女神様たちが帰ろうとした時、狛犬と猫又は哀れみの目を向けていたのだが、女の子の今の状況では興奮し過ぎて分かりませんでした。
そして女の子が独自の街を発展させ、今ではその街は黒いので、「暗黒街」と呼ばれ一部の者しか近寄らない謎の街となり、ラグネヴの呪文は危険過ぎて禁断妖術となりましたが、女の子はとっても幸せになった、はずですね。
———————————————————————————————————————————––————––
「こんな感じだよ、どう?」
首筋に汗が一つ流れていた。少し恥ずかしかったのだろう
うーん、やっぱりハッピーエンドだったよね?
「女の子、幸せになれてよかったね!」
これしか言えない。
「そう?結構不穏じゃあなかった?」
そうかな、ちっちゃい頃に鈍感って言われたことあるし鈍感すぎてわかんないのかな…
この物語が本当は私たちについて関係あるなんて思ってもみなかった。
