「なるほど……」
私が書いた映画のラストについてのメモ書きを、一華が真剣に読んでいる。
「ど、どう?」
不安になってたずねると、メモを読み終えた一華が言った。
「いいと思う。理奈の伝えたいことはわかった」
「そっか」
ホッと胸をなでおろす。すると今度は同じようにメモを読んでいた律が、急にノートをカバンから取り出して、ささっとイラストを描き始めた。
「なんかこのメモを見てたらイメージが湧いたんだけど……」
そして描き終えたイラストを律が見せてくれた。
それは四コマ漫画のような要領で描かれていた。映画のラストシーンを描いたみたいだ。
「なるほど、気持ちを受け取って、歩き出すってことね」
「わ~、すてき~」
律のイラストに一華も詩織も感激している。
「どうかな、理奈。こういう感覚で合ってる?」
律にたずねられ、私はうなずいた。
「うん。すごく的確に私の言いたいことを表現してくれて、ありがとう」
「それならよかった」
照れ笑いする律に一華が言った。
「律の映像をイメージする力ってすごい。それに絵も上手だし……。実は前から思ってたんだけど、律にこの映画の絵コンテを描いてもらってもいいかな?」
すると律は瞳を輝かせた。
「えっ! 私が絵コンテ描いていいのー? じゃあ描くわ」
どうやら律も、絵コンテを描きたいと思っていたようだった。
「っていうか絵コンテってどういうものなの? なんとなくしか知らないけど~」
詩織がたずねると、律が説明した。
「絵コンテってのは、映像の設計図みたいなもんだよ。今はまだ大まかなシナリオしか決まってないけど、映画にする時にはその内容を映像として表現しなきゃでしょ? だからその映像をどんなものにするか、カットごとに絵を描いておく必要があるわけ」
詩織はなるほど、と深くうなずく。
「確かに言われてみたらそうだね……。じゃあシナリオと絵コンテを作って、映像を撮って、それで音を入れるの?」
「うん、まあ音を入れる前に仮編集をしといたほうがいいかな。ざっくり編集しといて、その尺に合わせてナレーションを入れて、最後に編集して、って感じ」
「へー。なんとなく流れがわかった」
「私も今わかった……」
思わず私もそう言った。
どうやって映像作品を作るのか、ぼんやりしたイメージしか持ってなかったけど、そういう手順があるんだな。
その後、私たちは話し合いをしながら絵コンテとシナリオを仕上げていった。
私のメモを元に、律がその場で絵コンテを描き、みんなに相談する。改善する点や他の案があれば意見を出し合い、最終的な絵コンテを決め、同時にナレーションも決定していく。
そうして数日かけて、映画の絵コンテとシナリオが完成した。
「いよいよ準備が整ったね」
律は満足そうに出来上がった絵コンテを眺めている。
「来週からは撮影かー。すごいな、映画ってこういう風に出来上がっていくんだね」
感心している様子の詩織に、一華は微笑む。
「まだまだ先は長いわよ」
確かに映像を作るのって、想像以上に手間がかかる。
「これからワンシーンごとに撮影していくことを考えたら、気が遠くなるね」
思わず苦笑いした私に、律は言う。
「だけどさ、それが楽しいんだよ」
「そっか」
律は本当に映像作りが好きなんだな。こういう時の律は特別キラキラして見える。
それが素直に素敵なことだと思えたから、私は変わったんだろう。
今までの私だったら、きっと律のことを遠くに感じていたはずだから。
私が書いた映画のラストについてのメモ書きを、一華が真剣に読んでいる。
「ど、どう?」
不安になってたずねると、メモを読み終えた一華が言った。
「いいと思う。理奈の伝えたいことはわかった」
「そっか」
ホッと胸をなでおろす。すると今度は同じようにメモを読んでいた律が、急にノートをカバンから取り出して、ささっとイラストを描き始めた。
「なんかこのメモを見てたらイメージが湧いたんだけど……」
そして描き終えたイラストを律が見せてくれた。
それは四コマ漫画のような要領で描かれていた。映画のラストシーンを描いたみたいだ。
「なるほど、気持ちを受け取って、歩き出すってことね」
「わ~、すてき~」
律のイラストに一華も詩織も感激している。
「どうかな、理奈。こういう感覚で合ってる?」
律にたずねられ、私はうなずいた。
「うん。すごく的確に私の言いたいことを表現してくれて、ありがとう」
「それならよかった」
照れ笑いする律に一華が言った。
「律の映像をイメージする力ってすごい。それに絵も上手だし……。実は前から思ってたんだけど、律にこの映画の絵コンテを描いてもらってもいいかな?」
すると律は瞳を輝かせた。
「えっ! 私が絵コンテ描いていいのー? じゃあ描くわ」
どうやら律も、絵コンテを描きたいと思っていたようだった。
「っていうか絵コンテってどういうものなの? なんとなくしか知らないけど~」
詩織がたずねると、律が説明した。
「絵コンテってのは、映像の設計図みたいなもんだよ。今はまだ大まかなシナリオしか決まってないけど、映画にする時にはその内容を映像として表現しなきゃでしょ? だからその映像をどんなものにするか、カットごとに絵を描いておく必要があるわけ」
詩織はなるほど、と深くうなずく。
「確かに言われてみたらそうだね……。じゃあシナリオと絵コンテを作って、映像を撮って、それで音を入れるの?」
「うん、まあ音を入れる前に仮編集をしといたほうがいいかな。ざっくり編集しといて、その尺に合わせてナレーションを入れて、最後に編集して、って感じ」
「へー。なんとなく流れがわかった」
「私も今わかった……」
思わず私もそう言った。
どうやって映像作品を作るのか、ぼんやりしたイメージしか持ってなかったけど、そういう手順があるんだな。
その後、私たちは話し合いをしながら絵コンテとシナリオを仕上げていった。
私のメモを元に、律がその場で絵コンテを描き、みんなに相談する。改善する点や他の案があれば意見を出し合い、最終的な絵コンテを決め、同時にナレーションも決定していく。
そうして数日かけて、映画の絵コンテとシナリオが完成した。
「いよいよ準備が整ったね」
律は満足そうに出来上がった絵コンテを眺めている。
「来週からは撮影かー。すごいな、映画ってこういう風に出来上がっていくんだね」
感心している様子の詩織に、一華は微笑む。
「まだまだ先は長いわよ」
確かに映像を作るのって、想像以上に手間がかかる。
「これからワンシーンごとに撮影していくことを考えたら、気が遠くなるね」
思わず苦笑いした私に、律は言う。
「だけどさ、それが楽しいんだよ」
「そっか」
律は本当に映像作りが好きなんだな。こういう時の律は特別キラキラして見える。
それが素直に素敵なことだと思えたから、私は変わったんだろう。
今までの私だったら、きっと律のことを遠くに感じていたはずだから。
