歩道橋付近にて
　ドンッという衝撃が骨に響いた。その後に、私は未練解消のため、現実世界に戻されたのだという事実が衝撃に追いついてくる。
｢いてて……｣
　流石にあの天使、私の扱い雑すぎる。天使のくせに。まぁそんなこと本人に言ったら、天使にも色々いるんだ、とかあーだこーだ言われそうだけど。
　そう思いつつ辺りを見回す。現実世界は夜中みたいで、辺りは真っ暗、目の前には古びた柵。どうやらここは、歩道橋のちょうど真ん中らしい。見下ろすと、夜中ということもあり、車はほとんど走っていなかった。
｢……はぁ、今から未練解消か～｣
　ここにずっと座りこんでおくのは良くない気がして、とりあえず立ち上がり、思うがままに歩く。
　ここの夜は、人工的な光は街灯ぐらいで星がよく見える。秋だとペガスス座とかカシオペア座が見えるってテレビで昔言っていた気がして、空を見上げてみる。でも、どれがどの星座か全く分からない。ただ静かに星が瞬いているだけだ。人間は死後、星になるとか言うし、私も未練解消が終わったらあんな風になれるのかなとか思う。まあ私は星座になれるような立派な星じゃなくて、ちっちゃな光を放つだけの星なんだろうけど。
　そんなことを考えていたら、ある場所に着いた。
｢空色公園……｣
　懐かしい。昔よく遊んでたな。そう思い出に浸りながら、近くにあったベンチに腰かける。
　……なんか、すごく疲れているように感じる。ユーレイなのに疲れているなんて、流石に不便すぎる、と思いため息をつく。そうしていたら、眠気がゆっくりと押し寄せてきて、私はそのままユーレイとして初めての眠りについた。