たった三日間で未練解消?天使がわざわざ三本指たてて示してくれているけれど、ぶっちゃけどうでもいい。脳内から減っていっていた?がまた増えていく。
「いや、私死んだんだよね?」
「うん」
「それならどうやって未練解消するわけ?」
「そこは人間のご想像どおりユーレイになるんだよ」
「ユーレイ……」
「まぁユーレイはユーレイでも足あるんだけどね。とにかく、未練解消。やることはそれだけなんだから楽でしょ?」
 それだけなんだから楽ってなんだよ、とか心の中で毒づきながらも尋ねる。
「でも……未練って言われても、そんなのすぐに見つかんなくない?」
「いや、ここは未練があるユーレイだけが連れてこられる場所だから、きみにも必ずあるはず。それに、これ以上時間与えてたら仕事回んないんだよ。一日は短い、一週間は長い、四十九日なんてもってのほか、五日はなんか違うって感じで三日がちょうどいいわけ」
「なんか違うって……」
 この天使、どこまでもテキトーで何だかムカついてくる。
「ほら、僕も忙しいんだからさっさと未練なくしてきて。今から君が自殺した歩道橋付近に落とすから」
「えっ、急すぎるよ!ていうか落とすってどういうこと!?」
 あまりにも断片的な説明で理解出来ていない中、天使は私を引っ張り、部屋のど真ん中に移動させ、自身は機械のようなものを操作し始めた。すると、なぜか私の身体が淡く光り始めた。
「え、光ってる……?」
 天使は私の呟きなどフル無視して言った。
「それじゃ藤田実央サン、頑張ってねー、呼ばれたら忙しくなければ行くからー」
「はぁ?忙しくてもちゃんと来てよ!」
「はいはい分かったら。じゃあねー」
 天使の棒読みな応援の声も遠のき始め、何かに吸い込まれるような感覚の中、私は現実世界へと落ちていった。