ある教室にて
気が付くと教室にいた。なぜか私は机に突っ伏して寝ていたもよう。寝ぼけていた頭の中もハッキリとしてきて、徐々にさっきまで何をしていたのか思い出してくる。
……あれ、私歩道橋から飛び降りたんじゃないの?なんで教室にいるの?
覚醒していくうちに疑問しか浮かんでこず、頭の中は?でいっぱいになる。
もう一度辺りを見回すと、教卓に頬杖をつき、何かしら分厚い本を読んでいる(というよりぱらぱらめくっている)人がいた。なんか羽とか頭の上に輪っか付いてるけど。まるで……天使のような。
その天使らしき人は私が起きたことに気付いたらしく、分厚い本を閉じた。
「お、やっと気付いた?全然起きないから僕のこれ以外の仕事、たまっていってるんだけど」
「え、何なんですか、急に……」
仕事が溜まっていってるとかそんなの知らないんだから文句言われても、と内心悪態をつく。
「えー、藤田実央。十五歳の中学三年生。十一月七日、午後五時四十七分、歩道橋から飛び降り自殺を行う。きみ、そんなだけど案外大胆な方法で自殺したんだね」
「え、私死ねたの?」
「うん」
いくらか鼻につく発言もあったけれど、「死ねた」という事実が私の脳を支配した。これで、あの世界から離れて自由になれる。そう思うとたまらなく嬉しくなった。
「じゃあここは天国、地獄?」
「天国だけど?」
「へえー」
それにしてはイメージと違って、なんだか現実的な場所だった。窓から見える景色はきれいな青空でも、花畑でもない。窓が曇っているのかと疑いたくなるぐらい、ただただ白かった。
「イメージと違ったでしょ」
「え、うん。なんで分かったの?」
「今までの人間も大体そうなんだよ。華やかなイメージらしいんだけど、本来は全然違う。真っ白い世界の中に真っ白い建物が建っているだけの無機質な場所だよ」
「ふーん……あ、つまりあなたって天使?」
「そうだけど……逆にそれ以外に何があるのさ。羽も輪っかも付いてんのに」
天使から、こいつ何言ってんだ、みたいな顔で見られる。仰るとおりで何も言えないでいると、沈黙を破るように、天使が手を叩き、声色を変えて話し始めた。
「ということで、藤田実央サンには現実世界でやり残したことを三日間で終わらせてもらいます。僕はそのお手伝い役」
「……はぁ?」
気が付くと教室にいた。なぜか私は机に突っ伏して寝ていたもよう。寝ぼけていた頭の中もハッキリとしてきて、徐々にさっきまで何をしていたのか思い出してくる。
……あれ、私歩道橋から飛び降りたんじゃないの?なんで教室にいるの?
覚醒していくうちに疑問しか浮かんでこず、頭の中は?でいっぱいになる。
もう一度辺りを見回すと、教卓に頬杖をつき、何かしら分厚い本を読んでいる(というよりぱらぱらめくっている)人がいた。なんか羽とか頭の上に輪っか付いてるけど。まるで……天使のような。
その天使らしき人は私が起きたことに気付いたらしく、分厚い本を閉じた。
「お、やっと気付いた?全然起きないから僕のこれ以外の仕事、たまっていってるんだけど」
「え、何なんですか、急に……」
仕事が溜まっていってるとかそんなの知らないんだから文句言われても、と内心悪態をつく。
「えー、藤田実央。十五歳の中学三年生。十一月七日、午後五時四十七分、歩道橋から飛び降り自殺を行う。きみ、そんなだけど案外大胆な方法で自殺したんだね」
「え、私死ねたの?」
「うん」
いくらか鼻につく発言もあったけれど、「死ねた」という事実が私の脳を支配した。これで、あの世界から離れて自由になれる。そう思うとたまらなく嬉しくなった。
「じゃあここは天国、地獄?」
「天国だけど?」
「へえー」
それにしてはイメージと違って、なんだか現実的な場所だった。窓から見える景色はきれいな青空でも、花畑でもない。窓が曇っているのかと疑いたくなるぐらい、ただただ白かった。
「イメージと違ったでしょ」
「え、うん。なんで分かったの?」
「今までの人間も大体そうなんだよ。華やかなイメージらしいんだけど、本来は全然違う。真っ白い世界の中に真っ白い建物が建っているだけの無機質な場所だよ」
「ふーん……あ、つまりあなたって天使?」
「そうだけど……逆にそれ以外に何があるのさ。羽も輪っかも付いてんのに」
天使から、こいつ何言ってんだ、みたいな顔で見られる。仰るとおりで何も言えないでいると、沈黙を破るように、天使が手を叩き、声色を変えて話し始めた。
「ということで、藤田実央サンには現実世界でやり残したことを三日間で終わらせてもらいます。僕はそのお手伝い役」
「……はぁ?」
