それから数日が経ったある日、再び屋敷に人の訪問があった。スーツに身を包んでおり、彼は怜司に役場からの使いだと告げてから続ける。
「……あまり穏やかではない噂が広まっていましてね。申し訳ないんですが、村長が一度お話を、と。村の方針についての会合に出席してほしい、ということでして。つきましては、次の日曜に、集会所までお越し願いたいのです」
相手は汗を拭きつつ、丁寧に話す。怜司は何やら思案している様子だった。
「……皆さんの前で、申し開きをする、ということでしょうか」
怜司があごに手を当てながら言う。
「……はい。強制ではないのですが、出てくださらないと、もっと悪い方に話が膨らんでしまうことも考えられまして……」
男性は恐縮しきった様子で言う。
「いいですよ。それで誤解が晴れるなら喜んで」
「助かります。ここにくわしい日時と場所を書いてありますから」
「私から、一つだけ条件をいいでしょうか」
怜司が切り出すと、男性はメモ帳を取り出しうなずく。
「村長や青年団の皆さまだけではなく、村民のみなさんにもぜひ集まってもらいたいのです。ぜひ多くの人たちに、話をきいてもらいたい」
「え、ああ、はい。それは問題ないと思いますが。伝えておきます」
怜司は男が帰った後で、再び考え込んだ。心配になった蒼空が怜司を見上げる。彼は片膝をついて蒼空を見つめると言う。
「きっと、内実は会合という名の糾弾だろうね。下手をしたら、村にいられなくなるかもしれない。だからといって出なくても同じことだ。でも」
怜司はふと、さも楽しそうに微笑む。
「これはチャンスだ。私のことを……この屋敷のことを皆に知ってもらう、ね」
蒼空は怜司の様子に安堵する。彼がかつて語っていた、きっと分かり合えるという言葉を思い出す。蒼空もまた、輝く瞳を怜司に向けたのだった。
「……あまり穏やかではない噂が広まっていましてね。申し訳ないんですが、村長が一度お話を、と。村の方針についての会合に出席してほしい、ということでして。つきましては、次の日曜に、集会所までお越し願いたいのです」
相手は汗を拭きつつ、丁寧に話す。怜司は何やら思案している様子だった。
「……皆さんの前で、申し開きをする、ということでしょうか」
怜司があごに手を当てながら言う。
「……はい。強制ではないのですが、出てくださらないと、もっと悪い方に話が膨らんでしまうことも考えられまして……」
男性は恐縮しきった様子で言う。
「いいですよ。それで誤解が晴れるなら喜んで」
「助かります。ここにくわしい日時と場所を書いてありますから」
「私から、一つだけ条件をいいでしょうか」
怜司が切り出すと、男性はメモ帳を取り出しうなずく。
「村長や青年団の皆さまだけではなく、村民のみなさんにもぜひ集まってもらいたいのです。ぜひ多くの人たちに、話をきいてもらいたい」
「え、ああ、はい。それは問題ないと思いますが。伝えておきます」
怜司は男が帰った後で、再び考え込んだ。心配になった蒼空が怜司を見上げる。彼は片膝をついて蒼空を見つめると言う。
「きっと、内実は会合という名の糾弾だろうね。下手をしたら、村にいられなくなるかもしれない。だからといって出なくても同じことだ。でも」
怜司はふと、さも楽しそうに微笑む。
「これはチャンスだ。私のことを……この屋敷のことを皆に知ってもらう、ね」
蒼空は怜司の様子に安堵する。彼がかつて語っていた、きっと分かり合えるという言葉を思い出す。蒼空もまた、輝く瞳を怜司に向けたのだった。
