「オレ、お前に謝らないといけないことがあるんだ」
雪の降る、寒いであろう十二月の運命の日。
私……僕をこの世界に引き込んだ、友人であり人事部の榊秋斗がこの上なく申し訳なさそうに俯き、手を握りしめながら身体をこちらに向ける。
「……え、なに?どうしたんだよ」
同い年の秋斗は、いつも穏やかで優しい月の光のような奴で。こんなに暗い顔なんて五年間一緒にいて一度も見たことがない。
「上には絶対に言うなって言われてきたんだけどさ。やっぱり伝えないのは、オレが罪悪感で耐えられないんだ。今の状況も状況だし」
それは、僕がこの世界のルールのグレーゾーン……いや、ブラックゾーンに足を踏み入れていることだろう。
月に一度程度の頻度で会っている秋斗には、絶対にこの世界の上にバレてはいけない秘密も話している。まさに、そのことと関係しているのだろう。
「オレ……オレさ……」
震える声から紡がれる告白に、僕の頭は真っ白になった。今までそうだと思っていたことが、間違っていたなんて。夢にも思わなかった。
来客を送り出し、僕の目の前に座る小晴さんのところにどうやって帰ったのかは覚えていない。
でも秋斗の話を聞いて、小晴さんの顔を見て。
・今までと変わらない日々を送ること。
・君のいる未来がこの先長く流れること。
そのふたつを天秤にかけた。
答えはすぐに出た。
悩むことなんて、何一つなかった。
やるべきことは、ずっと前から決まっていたんだ。
秋斗がなんて言おうと、僕……私が選ぶ道はひとつだった。
後悔なんてない。この未来を望んでいる人は私を含めてたくさんいる。
もうすべてを受け入れたように、儚く微笑む小晴さんの最後の笑顔を見たあと。彼女の身体の中に乗り移った。
雪の降る、寒いであろう十二月の運命の日。
私……僕をこの世界に引き込んだ、友人であり人事部の榊秋斗がこの上なく申し訳なさそうに俯き、手を握りしめながら身体をこちらに向ける。
「……え、なに?どうしたんだよ」
同い年の秋斗は、いつも穏やかで優しい月の光のような奴で。こんなに暗い顔なんて五年間一緒にいて一度も見たことがない。
「上には絶対に言うなって言われてきたんだけどさ。やっぱり伝えないのは、オレが罪悪感で耐えられないんだ。今の状況も状況だし」
それは、僕がこの世界のルールのグレーゾーン……いや、ブラックゾーンに足を踏み入れていることだろう。
月に一度程度の頻度で会っている秋斗には、絶対にこの世界の上にバレてはいけない秘密も話している。まさに、そのことと関係しているのだろう。
「オレ……オレさ……」
震える声から紡がれる告白に、僕の頭は真っ白になった。今までそうだと思っていたことが、間違っていたなんて。夢にも思わなかった。
来客を送り出し、僕の目の前に座る小晴さんのところにどうやって帰ったのかは覚えていない。
でも秋斗の話を聞いて、小晴さんの顔を見て。
・今までと変わらない日々を送ること。
・君のいる未来がこの先長く流れること。
そのふたつを天秤にかけた。
答えはすぐに出た。
悩むことなんて、何一つなかった。
やるべきことは、ずっと前から決まっていたんだ。
秋斗がなんて言おうと、僕……私が選ぶ道はひとつだった。
後悔なんてない。この未来を望んでいる人は私を含めてたくさんいる。
もうすべてを受け入れたように、儚く微笑む小晴さんの最後の笑顔を見たあと。彼女の身体の中に乗り移った。


