席替えしたら、どうやら後ろの男が俺のこと好きらしい

 ずっと、こうしたかった。
 でも、これ以上はやめないといけない。本気で間山を襲ってしまう。
 軽く触れて、離れようとしたら、今度は間山が離れまいと近づいた。
 目を閉じて、必死に追いつこうとするその姿が可愛くて、後頭部を抑えて強くする。
 俺はもう間山を手放すことなんてできない。
 鎖があれば繋いでしまいたいし、誰の目にも触れさせたくないって本気で思ってしまう。そんな俺を間山は受け止めてくれそうで、だからこそ何も言えなくて。
 思いをぶつけるように口づけを深くしていく。
「朝宮」
 俺を呼ぶ声も、俺を見つめるその瞳も、全部閉じ込めてしまえたらいいのに。
 そんな独占欲の醜い塊を押し殺すように、つとめてやさしくなるように「うん」とだけ声を出す。
「好きだよ」
 そんなことを言ってくるから、つい固まってしまう。
 当たり前のように向けられる好意は、最近まではありえないものだった。自分のことを好きになってもらうことだけを考えて、それでも間山が嫌がることはしないと決め込んで。
 そういう瀬戸際に立ちながらも、間山を好きになったことを後悔したことは一度だってなかった。
 初めて本気で好きになった人が間山で、その間山が幸せでいてくれればいいと短冊に願ったあの気持ちは嘘じゃない。
 それでも、幸せにするのはやっぱり俺がよかった。
 その間山が、俺に躊躇いを見せることなく「好き」と伝えてくれることが、どれだけ尊いものなのか。
「って、ごめん引いた?」
「引かない。俺も同じこと思ってた」
 だけど、間山みたいに綺麗な「好き」ではないかもしれない。
 俺の好きは、ものすごく濁っていて、重たくて、沈んでしまうようなものだ。
 それを知られないように、できるだけ綺麗なものとして見せるようにするぐらいしか俺にはできないから。
「好きだよ、間山」
 今はただ、この気持ちが伝えられればそれでいい。
 間山が俺から離れない限りは、どこにも行かせたくないから。