「朝宮、誘ってもぜんぜん顔出してくれないし」
その中のギャルっぽい女の子が妙に朝宮と近いことに嫉妬してしまった。
きっと中学のときはそれがふつうだったんだろうな。でも今はちがうんだよ。
一応、彼氏っていう俺がいるんだけどね。ちょっとは遠慮してほしい。なんて、あの子は俺たちのことなんて知らないんだけど。
「ねえ、朝宮案内してよ」
「無理」
「塩対応なところは変わらないねえ。じゃあクラスだけでも教えて」
「無理」
そればっかじゃんと笑いが起こる。あんな対応でも笑って許されるって朝宮だけなんじゃないのか。
「つれないなあ」
「朝宮がついに彼女できたんじゃないかって話してたんだよ」
「中学のときは結局誰とも付き合わなかったでしょ」
盗み聞きとは分かってても、つい気になってしまう。
そして得てしまった朝宮の中学時代の情報。そうか、彼女とかいなかったんだ。
「朝宮の熱狂的なファンやばかったからね。バレンタインの伝説とか」
「あったあった。朝宮のせいで学校にチョコレート持っていくの禁止になったんだから」
どんな伝説作ってんだよ、俺の彼氏は。
「で、今も彼女いないの?」
ギャルに腕をつんと触れられて、朝宮はさりげなく距離を取った。
「いない」
……まあ、そう答えるよな。彼女はいないと思う。
でも、俺は?
朝宮にとって、俺ってどういう存在なの?
俺たち付き合ってるってことでいいんだよな?
それなのに、適切な距離とか言って、あれから全然触ってこようとしない。俺も、また拒否られたらって思ったら、怖くて何もできなくなるし。
はあ、もっとガツガツいけたらいいのに。
そうしたら朝宮がなんで変に距離を取ろうとしてるのか分かるんだけどな。
「せっかくだからウチらと一緒に回ろうよ」
「勝手に回ってろ」
きっぱりと断言した朝宮は、んじゃと手をひらひらとさせていた。
「……俺のこと、どう思ってんだよ、朝宮」
誰の耳にも届くことがないただの独り言は、賑やかな場所でかき消される。
この窓を飛び越えて、朝宮を追いかけられたらいいのに。
離れていくこの距離がどうしても埋められない。
俺たち、ずっとこのままなのか?
そう思ったところで──。
「やめてくださいッ!」
その声に俺は振り返った。
その中のギャルっぽい女の子が妙に朝宮と近いことに嫉妬してしまった。
きっと中学のときはそれがふつうだったんだろうな。でも今はちがうんだよ。
一応、彼氏っていう俺がいるんだけどね。ちょっとは遠慮してほしい。なんて、あの子は俺たちのことなんて知らないんだけど。
「ねえ、朝宮案内してよ」
「無理」
「塩対応なところは変わらないねえ。じゃあクラスだけでも教えて」
「無理」
そればっかじゃんと笑いが起こる。あんな対応でも笑って許されるって朝宮だけなんじゃないのか。
「つれないなあ」
「朝宮がついに彼女できたんじゃないかって話してたんだよ」
「中学のときは結局誰とも付き合わなかったでしょ」
盗み聞きとは分かってても、つい気になってしまう。
そして得てしまった朝宮の中学時代の情報。そうか、彼女とかいなかったんだ。
「朝宮の熱狂的なファンやばかったからね。バレンタインの伝説とか」
「あったあった。朝宮のせいで学校にチョコレート持っていくの禁止になったんだから」
どんな伝説作ってんだよ、俺の彼氏は。
「で、今も彼女いないの?」
ギャルに腕をつんと触れられて、朝宮はさりげなく距離を取った。
「いない」
……まあ、そう答えるよな。彼女はいないと思う。
でも、俺は?
朝宮にとって、俺ってどういう存在なの?
俺たち付き合ってるってことでいいんだよな?
それなのに、適切な距離とか言って、あれから全然触ってこようとしない。俺も、また拒否られたらって思ったら、怖くて何もできなくなるし。
はあ、もっとガツガツいけたらいいのに。
そうしたら朝宮がなんで変に距離を取ろうとしてるのか分かるんだけどな。
「せっかくだからウチらと一緒に回ろうよ」
「勝手に回ってろ」
きっぱりと断言した朝宮は、んじゃと手をひらひらとさせていた。
「……俺のこと、どう思ってんだよ、朝宮」
誰の耳にも届くことがないただの独り言は、賑やかな場所でかき消される。
この窓を飛び越えて、朝宮を追いかけられたらいいのに。
離れていくこの距離がどうしても埋められない。
俺たち、ずっとこのままなのか?
そう思ったところで──。
「やめてくださいッ!」
その声に俺は振り返った。



