「間山……なんでここに」
「あの、バイトしてて……その、短冊が」
途切れ途切れで分からない。とりあえずこの近くでバイトしていたということだろうか。
「間山?」と隣から聞こえてきた。顎に手を当てた姉は「ああ」と納得したような顔で俺を見上げた。
「おっけ、了解した。ここからはふたりがいいね」
そう言うと、まだ買い物前だというのに早々とその場を去っていく。空気が読めるところだけはありがたい。
「間山、どっか近くに座る?」
「その前に、ごめん」
「なんで間山が謝んの」
分からないことだらけだ。頭が追いつかない。今もまだ幻でも見ているのだろうか。
「朝宮が書いた短冊、勝手に見た」
短冊。
間山が幸せになりますようにと祈った短冊だ。
「……じゃあ謝るのは俺のほうじゃん」
「え?」
「重かったよな、ごめん」
好きにならなくてもいいと俺から言ったはずなのに。こんな激重感情ぶつけられて。しかも短冊にまで願われて。間山の気持ちを考えることができてなかった。キモがられて終わりだ。
「そんなことない!」
それなのに、間山は否定した。
「うれしかった、朝宮が俺のこと書いてくれて」
「ほんとうに?」
「ほんとに!」
そう言ってもらえるだけで幸せだ。これ以上は望んだりしない。
短冊の願いは誰が叶えてくれるのかは知らないが、もしかしたら間違って届いてしまったのかもしれない。
ここまで追いかけてきてくれた間山を、油断すると抱きしめてしまいそうになる。それをぐっと堪えた。本当なら、ここで好きだと言ってしまいたい。
それでも間山をこれ以上困らせたくはない。
「好きだ!」
突然聞こえたそれは、思わず自分の口から出ていってしまったものかと思った。
けれど目の前にいる間山を見たら、その考えは吹き飛んだ。
力強く俺を見るその目は、今まで見たことがないぐらいかっこよかった。
いつも可愛いと思い続けてきた間山なのに。
「今、なんて……」
「朝宮が好き。好きにならなくてもいいとか、美人な彼女がいるのは分かってる。でも、俺が朝宮のことを好きになったんだよ。友達とかじゃなくて」
「待った。前半は俺が悪いけど……美人な彼女?」
「さっき腕組んでただろ。俺見てて、短冊とか渡しちゃって」
「ごめん、話が飛んだ。短冊?」
間山がどこかにいたということか。
いや、俺が間山を見逃すはずがない。一体どこに……。
そのとき、なぜかショッキングピンクが頭の中で過った。まさか。
「うさぎ」
繋がった瞬間、その言葉が出ていた。
「もしかして、うさぎの着ぐるみ?」
「えっ、なんで分かんの?」
ああ、そうだったのか。ずっと間山は近くにいたんだ。
間山かもしれないなんて思ったことは間違いではなかった。
「……あれは彼女じゃなくて姉貴で、うさぎの着ぐるみかぶってた間山は可愛かった」
「そ、そうなの? いや、俺のことはいいんだけど」
彼女じゃなかったのか、と明らかにホッとしたような顔を見せた間山を思わず抱きしめた。
「朝宮っ!? 離れたほうがいいって、俺汗かいてるから」
「んなの関係ない。むしろ大歓迎」
「そんな顔で変態極めるなって」
「好きだよ」
呟くと、間山が固まった。あれだけ俺の腕から逃れようとしていたのに。
「……耳元で言うのは卑怯だろ」
「間山、顔真っ赤だ」
「真っ赤にもなるよ……好きな人に言われたら」
おかしいな。間山が可愛いことなんて分かりきってるはずで、今さらなのに、今はどうしようもなく可愛く見えて仕方がない。
「はあ、可愛くてどうしよう」
「朝宮、落ち着いてほしい。ここ公共の場だから」
「無理。ずっと我慢してたから」
叶うことはないと思っていた。
間山を好きだと自覚してから、この恋は実ることなく終わっていくんだって、そう思っていたのに。
今、好きな人が腕の中にいる。そのことが幸せでたまらない。
「間山、好きだよ。ずっと前から」
「あの、バイトしてて……その、短冊が」
途切れ途切れで分からない。とりあえずこの近くでバイトしていたということだろうか。
「間山?」と隣から聞こえてきた。顎に手を当てた姉は「ああ」と納得したような顔で俺を見上げた。
「おっけ、了解した。ここからはふたりがいいね」
そう言うと、まだ買い物前だというのに早々とその場を去っていく。空気が読めるところだけはありがたい。
「間山、どっか近くに座る?」
「その前に、ごめん」
「なんで間山が謝んの」
分からないことだらけだ。頭が追いつかない。今もまだ幻でも見ているのだろうか。
「朝宮が書いた短冊、勝手に見た」
短冊。
間山が幸せになりますようにと祈った短冊だ。
「……じゃあ謝るのは俺のほうじゃん」
「え?」
「重かったよな、ごめん」
好きにならなくてもいいと俺から言ったはずなのに。こんな激重感情ぶつけられて。しかも短冊にまで願われて。間山の気持ちを考えることができてなかった。キモがられて終わりだ。
「そんなことない!」
それなのに、間山は否定した。
「うれしかった、朝宮が俺のこと書いてくれて」
「ほんとうに?」
「ほんとに!」
そう言ってもらえるだけで幸せだ。これ以上は望んだりしない。
短冊の願いは誰が叶えてくれるのかは知らないが、もしかしたら間違って届いてしまったのかもしれない。
ここまで追いかけてきてくれた間山を、油断すると抱きしめてしまいそうになる。それをぐっと堪えた。本当なら、ここで好きだと言ってしまいたい。
それでも間山をこれ以上困らせたくはない。
「好きだ!」
突然聞こえたそれは、思わず自分の口から出ていってしまったものかと思った。
けれど目の前にいる間山を見たら、その考えは吹き飛んだ。
力強く俺を見るその目は、今まで見たことがないぐらいかっこよかった。
いつも可愛いと思い続けてきた間山なのに。
「今、なんて……」
「朝宮が好き。好きにならなくてもいいとか、美人な彼女がいるのは分かってる。でも、俺が朝宮のことを好きになったんだよ。友達とかじゃなくて」
「待った。前半は俺が悪いけど……美人な彼女?」
「さっき腕組んでただろ。俺見てて、短冊とか渡しちゃって」
「ごめん、話が飛んだ。短冊?」
間山がどこかにいたということか。
いや、俺が間山を見逃すはずがない。一体どこに……。
そのとき、なぜかショッキングピンクが頭の中で過った。まさか。
「うさぎ」
繋がった瞬間、その言葉が出ていた。
「もしかして、うさぎの着ぐるみ?」
「えっ、なんで分かんの?」
ああ、そうだったのか。ずっと間山は近くにいたんだ。
間山かもしれないなんて思ったことは間違いではなかった。
「……あれは彼女じゃなくて姉貴で、うさぎの着ぐるみかぶってた間山は可愛かった」
「そ、そうなの? いや、俺のことはいいんだけど」
彼女じゃなかったのか、と明らかにホッとしたような顔を見せた間山を思わず抱きしめた。
「朝宮っ!? 離れたほうがいいって、俺汗かいてるから」
「んなの関係ない。むしろ大歓迎」
「そんな顔で変態極めるなって」
「好きだよ」
呟くと、間山が固まった。あれだけ俺の腕から逃れようとしていたのに。
「……耳元で言うのは卑怯だろ」
「間山、顔真っ赤だ」
「真っ赤にもなるよ……好きな人に言われたら」
おかしいな。間山が可愛いことなんて分かりきってるはずで、今さらなのに、今はどうしようもなく可愛く見えて仕方がない。
「はあ、可愛くてどうしよう」
「朝宮、落ち着いてほしい。ここ公共の場だから」
「無理。ずっと我慢してたから」
叶うことはないと思っていた。
間山を好きだと自覚してから、この恋は実ることなく終わっていくんだって、そう思っていたのに。
今、好きな人が腕の中にいる。そのことが幸せでたまらない。
「間山、好きだよ。ずっと前から」



