「こうちゃん、まだあの子いる?」
「いなくなった」
「よかった。私のこと彼女だと思ってくれたんだろうね」
「心外だけどな」
「こんな可愛い彼女、そうそう手に入らないよ」
「自分で言うことかよ」
こんなところを間山に見られたら終わりだ。
ただでさえ間山に嫌われないように必死だっていうのに、遊び人だと思われたらふつうに泣く。涙が出るぐらいには立ち直れない。
「あ、こうちゃん見て。短冊だって!」
そして忘れていた。絶対に寄りたいと言い出すコーナーのことを。
この猛暑の中で、なぜやりたくなるのか。立ってるだけでも汗をかくのに、こんなことに付き合っていられない。
「買い物、いいやつなくなるんじゃない?」
「なくならないよ。大丈夫、短冊書く時間くらいはある」
なんであるんだよ。呆れながらも、結果的に寄ることになってしまった。
うさぎの着ぐるみはまだいて、暑い中頑張っている。
その前を通りすぎたとき、なぜか間山の匂いがして、いい加減にしろと頭を振った。
間山のことを考えすぎて頭がおかしくなったのかもしれない。
考えないようにしようと思うのに、それができない。姉から「こうちゃんの短冊ももらっちゃったから」と手渡されてしまう。
「書くことない」
「なんでもいいんだよ。お願い事のひとつやふたつはあるでしょ」
「ない」
「じゃあ好きな人のために願ったら?」
「好きな人……」
間山のために願うのであれば話は別だ。
願いたいことなんていくらでもある。間山が好きなものいっぱい食べられますようにとか、少しだけ足を速くしてあげてとか、購買戦争に勝てるように細工してとか。
だけど、どれも全部間山はやめてほしいなんて言いそうで。
結果的に間山の幸せを願うという無難な言葉しか浮かばなかった。
「あ、こうちゃんだけ高いところに飾るのずるい」
「誰にも見られないようにするため」
こんなひとりよがりな願いごと、俺だけが知っていればいい。
「こうちゃん行こうか」
呼ばれて、短冊から目を逸らす。
間山が幸せになる為なら、どんなことでも出来る。
でも、俺なんかに捕まってしまうよりも、間山が心から望んだ人と幸せになった方が良いーー。
「朝宮ッ!」
気のせいだ、幻聴だと分かっていてもつい振り返ってしまった。
こんな場所に間山がいるはずないのに。
「朝宮」
それなのに、振り返った先に間山がいた。息を切らして膝に手をつく、焦がれた人が。大きな声を出す、間山の姿が。
「いなくなった」
「よかった。私のこと彼女だと思ってくれたんだろうね」
「心外だけどな」
「こんな可愛い彼女、そうそう手に入らないよ」
「自分で言うことかよ」
こんなところを間山に見られたら終わりだ。
ただでさえ間山に嫌われないように必死だっていうのに、遊び人だと思われたらふつうに泣く。涙が出るぐらいには立ち直れない。
「あ、こうちゃん見て。短冊だって!」
そして忘れていた。絶対に寄りたいと言い出すコーナーのことを。
この猛暑の中で、なぜやりたくなるのか。立ってるだけでも汗をかくのに、こんなことに付き合っていられない。
「買い物、いいやつなくなるんじゃない?」
「なくならないよ。大丈夫、短冊書く時間くらいはある」
なんであるんだよ。呆れながらも、結果的に寄ることになってしまった。
うさぎの着ぐるみはまだいて、暑い中頑張っている。
その前を通りすぎたとき、なぜか間山の匂いがして、いい加減にしろと頭を振った。
間山のことを考えすぎて頭がおかしくなったのかもしれない。
考えないようにしようと思うのに、それができない。姉から「こうちゃんの短冊ももらっちゃったから」と手渡されてしまう。
「書くことない」
「なんでもいいんだよ。お願い事のひとつやふたつはあるでしょ」
「ない」
「じゃあ好きな人のために願ったら?」
「好きな人……」
間山のために願うのであれば話は別だ。
願いたいことなんていくらでもある。間山が好きなものいっぱい食べられますようにとか、少しだけ足を速くしてあげてとか、購買戦争に勝てるように細工してとか。
だけど、どれも全部間山はやめてほしいなんて言いそうで。
結果的に間山の幸せを願うという無難な言葉しか浮かばなかった。
「あ、こうちゃんだけ高いところに飾るのずるい」
「誰にも見られないようにするため」
こんなひとりよがりな願いごと、俺だけが知っていればいい。
「こうちゃん行こうか」
呼ばれて、短冊から目を逸らす。
間山が幸せになる為なら、どんなことでも出来る。
でも、俺なんかに捕まってしまうよりも、間山が心から望んだ人と幸せになった方が良いーー。
「朝宮ッ!」
気のせいだ、幻聴だと分かっていてもつい振り返ってしまった。
こんな場所に間山がいるはずないのに。
「朝宮」
それなのに、振り返った先に間山がいた。息を切らして膝に手をつく、焦がれた人が。大きな声を出す、間山の姿が。



