そうして駆り出されたのは買い物の荷物係で、向こうは午前中バイトがあるとかで昼から噴水公園での待ち合わせになった。
それにしても暑すぎる。少し離れた場所には、何かイベントでもしているのか大きな笹と短冊が書けるスペースが設けられていた。あれを見たらジンクスが好きな姉は絶対に「やりたい!」と口にするだろう。
こんな暑い中、そんなことに付き合っていられない。
いかに視界に入らせないかを考えなくてはならない。待ち合わせ場所を変更するために連絡を入れようとしたら、テントの中からショッキングピンクの色をしたでかい着ぐるみが出てきた。
暑そう。この気温でかぶらされるなんてきつすぎる。
ああいうのを頼まれたら断れなさそうな顔がすぐに浮かんでしまう。
間山はきっと、誰もやらなかったら率先してやってしまうだろう。
どこまでもお人よしで、困っている人を見捨てることができないタイプだ。そして損な役回りばかりしてしまう。
間山を思い浮かべたからか、心なしかあの着ぐるみが間山に見えてしまう。
立ち方とか、手の動きとか、どう考えてもここに間山がいるはずはないのに勝手に重ねてしまう。重症だ。間山に会いたいからと、いよいよ幻覚を見始めている。
姉にさっさと連絡を入れようと切り替えたところで、「こうちゃーん」などと甲高い声が聞こえてぎょっとする。
顔を上げなくてもそれが誰なのか見当がつく。家だけにしてほしいという願いも呆気なく却下され、懲りずに「こうちゃん」などと呼んでくる人間は昨日から俺の恋愛に興味津々だ。
「お待たせッ」
「遅い、声がでかい、暑苦しい」
腕を組まれてもほどけないのは、おそらく今までの習慣を咄嗟に取り入れてしまったからだろう。
外ではこうすることで互いに変な人間が寄ってくるのを予防するという作戦が、暗黙の了解となっていた。
「今日はどんな奴」
「こうちゃんの斜め後ろの子かな。ずっと見てて、スマホをこうちゃんに向けたからちょっとマズイかもと思って」
「できればお得意の奇行走りやって近づいてきてくれたほうがよかったんだけど」
「それもアリなんだけど、奇行だけ切り抜かれてSNSで拡散されたら泣いちゃう」
それもそうか、と納得するが、咄嗟の機転で助かることも多い。
ふと、こちらを見ている女と目が合う。俺たちをしばらく見ていたのか、目が合うとその場からいなくなってしまった。あと五分もすれば、盗撮なり声をかけられるなりはしていたのだろう。
それにしても暑すぎる。少し離れた場所には、何かイベントでもしているのか大きな笹と短冊が書けるスペースが設けられていた。あれを見たらジンクスが好きな姉は絶対に「やりたい!」と口にするだろう。
こんな暑い中、そんなことに付き合っていられない。
いかに視界に入らせないかを考えなくてはならない。待ち合わせ場所を変更するために連絡を入れようとしたら、テントの中からショッキングピンクの色をしたでかい着ぐるみが出てきた。
暑そう。この気温でかぶらされるなんてきつすぎる。
ああいうのを頼まれたら断れなさそうな顔がすぐに浮かんでしまう。
間山はきっと、誰もやらなかったら率先してやってしまうだろう。
どこまでもお人よしで、困っている人を見捨てることができないタイプだ。そして損な役回りばかりしてしまう。
間山を思い浮かべたからか、心なしかあの着ぐるみが間山に見えてしまう。
立ち方とか、手の動きとか、どう考えてもここに間山がいるはずはないのに勝手に重ねてしまう。重症だ。間山に会いたいからと、いよいよ幻覚を見始めている。
姉にさっさと連絡を入れようと切り替えたところで、「こうちゃーん」などと甲高い声が聞こえてぎょっとする。
顔を上げなくてもそれが誰なのか見当がつく。家だけにしてほしいという願いも呆気なく却下され、懲りずに「こうちゃん」などと呼んでくる人間は昨日から俺の恋愛に興味津々だ。
「お待たせッ」
「遅い、声がでかい、暑苦しい」
腕を組まれてもほどけないのは、おそらく今までの習慣を咄嗟に取り入れてしまったからだろう。
外ではこうすることで互いに変な人間が寄ってくるのを予防するという作戦が、暗黙の了解となっていた。
「今日はどんな奴」
「こうちゃんの斜め後ろの子かな。ずっと見てて、スマホをこうちゃんに向けたからちょっとマズイかもと思って」
「できればお得意の奇行走りやって近づいてきてくれたほうがよかったんだけど」
「それもアリなんだけど、奇行だけ切り抜かれてSNSで拡散されたら泣いちゃう」
それもそうか、と納得するが、咄嗟の機転で助かることも多い。
ふと、こちらを見ている女と目が合う。俺たちをしばらく見ていたのか、目が合うとその場からいなくなってしまった。あと五分もすれば、盗撮なり声をかけられるなりはしていたのだろう。



