~朝宮side~
「やらかした」
カラオケからの帰り、家に着いてリビングのソファになだれ込む。
暴走してしまったという自覚があるだけまだマシだと思ってほしい。でも間山にはそんなこと関係ない。
『俺のこと、好きにならなくてもいいからね』
そう間山に伝えたのは、夏休みなのに常川田に学校まで呼び出された日だ。
可愛くて、学校だというのに抱きしめてしまって、それからハッとした。
いつの間にか、制御が効かなくなっていることに。
間山を見れば無意識に抱きしめてしまうようになった。それを間山から拒否られないのをいいことに、好き勝手している。
このままで、本当にいいんだろうか。
やさしい間山のことだから、いつか、俺と同じ気持ちにならなきゃいけないと気を遣ってしまう日がくるかもしれない。
そういうことを求めているんじゃない。本気で好きになってもらえたらうれしいけど、そうじゃないなら、それは俺が欲しかった間山の気持ちじゃない。
だから、好きにならなくてもいいと言ったつもりだった。
でも間違いだったらしい。バカと怒られ、あれから間山と距離ができた。
いっそこれでいい。俺は間山から離れたほうがいい。
そう思っていたはずなのに、榊と一緒にいる姿を見たら我慢ができなかった。
俺のことを好きにならなくてもいいと言ったはずなのに、あんなアプローチはさすがの俺でもドン引きだ。何考えてんだ。
間山の前では余裕を持った男でいたかった。それなのに、弱音なんか吐いて間山を困らせた。
「あれ、珍しいねえ」
ちょうどそこに、大学からの帰りなのか姉の小色が帰ってきた。
「なんか暗いし。もしかして落ち込んでる?」
「……うるさい」
「あ、いじけモードだ。ねえねえ、この前の本貸してよ」
弾丸のようにしゃべり続けるから、部屋へと逃げ込もうとするのに、姉は止まることを知らない。
「こうちゃんが何回も読み返してる本。よっぽど面白いんでしょ?」
「その呼び方やめろって何万回も言ってんだけど。あと貸さない」
「こうちゃんはこうちゃんじゃん。で、もう読み終わってるんでしょ? こうちゃんが本買ってくるなんて珍しいもん」
あれは、間山がオススメしてくれた本で、誰かに渡すなんて絶対にしたくない。
何度も栞を見ては、間山が俺だけのために選んでくれたものであるということを噛みしめる。
間山がくれたものは、俺だけが知っていて、楽しめればそれでいい。
「面白い本なんて世の中にいっぱいあるだろ」
「そっか、好きな人から教えてもらったんだ」
「…………」
「図星ってことはやっぱりそうなんだ! お姉さまに話してごらんよ!!」
いちいちテンションが高い。いつも鬱陶しいと思うが、今は余計に相手にしたくない。
「やらかした」
カラオケからの帰り、家に着いてリビングのソファになだれ込む。
暴走してしまったという自覚があるだけまだマシだと思ってほしい。でも間山にはそんなこと関係ない。
『俺のこと、好きにならなくてもいいからね』
そう間山に伝えたのは、夏休みなのに常川田に学校まで呼び出された日だ。
可愛くて、学校だというのに抱きしめてしまって、それからハッとした。
いつの間にか、制御が効かなくなっていることに。
間山を見れば無意識に抱きしめてしまうようになった。それを間山から拒否られないのをいいことに、好き勝手している。
このままで、本当にいいんだろうか。
やさしい間山のことだから、いつか、俺と同じ気持ちにならなきゃいけないと気を遣ってしまう日がくるかもしれない。
そういうことを求めているんじゃない。本気で好きになってもらえたらうれしいけど、そうじゃないなら、それは俺が欲しかった間山の気持ちじゃない。
だから、好きにならなくてもいいと言ったつもりだった。
でも間違いだったらしい。バカと怒られ、あれから間山と距離ができた。
いっそこれでいい。俺は間山から離れたほうがいい。
そう思っていたはずなのに、榊と一緒にいる姿を見たら我慢ができなかった。
俺のことを好きにならなくてもいいと言ったはずなのに、あんなアプローチはさすがの俺でもドン引きだ。何考えてんだ。
間山の前では余裕を持った男でいたかった。それなのに、弱音なんか吐いて間山を困らせた。
「あれ、珍しいねえ」
ちょうどそこに、大学からの帰りなのか姉の小色が帰ってきた。
「なんか暗いし。もしかして落ち込んでる?」
「……うるさい」
「あ、いじけモードだ。ねえねえ、この前の本貸してよ」
弾丸のようにしゃべり続けるから、部屋へと逃げ込もうとするのに、姉は止まることを知らない。
「こうちゃんが何回も読み返してる本。よっぽど面白いんでしょ?」
「その呼び方やめろって何万回も言ってんだけど。あと貸さない」
「こうちゃんはこうちゃんじゃん。で、もう読み終わってるんでしょ? こうちゃんが本買ってくるなんて珍しいもん」
あれは、間山がオススメしてくれた本で、誰かに渡すなんて絶対にしたくない。
何度も栞を見ては、間山が俺だけのために選んでくれたものであるということを噛みしめる。
間山がくれたものは、俺だけが知っていて、楽しめればそれでいい。
「面白い本なんて世の中にいっぱいあるだろ」
「そっか、好きな人から教えてもらったんだ」
「…………」
「図星ってことはやっぱりそうなんだ! お姉さまに話してごらんよ!!」
いちいちテンションが高い。いつも鬱陶しいと思うが、今は余計に相手にしたくない。



