席替えしたら、どうやら後ろの男が俺のこと好きらしい

【間山が幸せになりますように】

 ふと見えた黄色い短冊。見覚えのある字。それは、初めて朝宮に告白されたときの文字と重なった。
 え、と思ったときには、また風で下のほうへと紛れてしまう。
 今のは朝宮の短冊で、朝宮が書いてくれた内容は俺のことで……そう都合よく考えてしまっていいんだろうか。さすがに自惚れすぎているのかもしれない。
 だけど、もし、これが自惚れでもなんでもなかったとしたら。
「……朝宮」
 気づけば走り出していた。暑くて死にそうだと思ってたのに、今ではそれがどうでもいいと感じる。遠くの空に微(かす)かに白い星が見えて、それは朝宮を連想させる。
 光る星。そう書いて光星という人間になる朝宮を、俺は遠い存在だと思って見ていた。
 どこまでも手が届かないような存在で、それは変わることはない。
 俺はずっとダメな人間だったから。
 俺よりもすごい兄を目の当たりにしてきたからこそ、こういう人間に俺はなれないんだって早くから諦めて。
 俺にはなんの価値もないと思って過ごしてきたのに――。
『間山のことが好きだ』
 そんな俺を、朝宮は最初から受け止めてくれていた。
 何も持っていない俺に期待なんてすることなく、ただ俺だけを見ていてくれた。
 そういう人に好かれる奇跡が、俺の人生に起こるなんて今でも信じられない。
 ライクとラブは大きく違う。それでも、俺はラブだ。朝宮に対する感情をなかったことにはしたくない。
 だからこそ、朝宮の隣にいるのは俺がいい。
 見慣れた背中が見えたとき、周囲の光景なんてなにも目に入らなくて。
 あの日、初めて朝宮に告白されたとき。階段の踊り場に向かうあの後ろ姿と重なる。大きくて頼りがいのある背中。あのとき、なんて言われるのか想像もできなかった。
 どうなるか分からない。それでも伝えたい。
「朝宮ッ!」