なんで恥ずかしげもなくこんなことが言えるんだよ。俺はそれになんて返せばいいんだよ。
ご当地キャラにこんなことするのか?
……こういう触り方なんてしないだろ。
ああ、もう最悪だ。
俺は朝宮に怒ってるのに。切り替えようと思ったけど、やっぱり無理だ。
本当は、なんであんなこと言ったんだよって、何も考えずに言えてしまったらいい。でも、それに返ってくる答え次第で、脆くて壊れやすい俺たちの関係なんて一瞬で消えてなくなってしまいそうで怖い。
「間山?」
顔を伏せた俺を、追い詰めるように覗き込んでくる。
やたらと距離が近い。朝宮のせいで、なんでこんなに悩まないといけないんだ。
平然としていたくてもこんな顔、朝宮には見られたくない。顔が熱い。絶対やばい顔してるって自覚があるのに、隠すこともできない。
俺は朝宮に、好きにならなくてもいいって言われてるんだぞ。
それなのに、こんな顔なんかしてたら、「好きです」って言ってるようなもんじゃん。
「間山、本当にどうした?」
「……せい、だ」
「え?」
「全部朝宮のせいだろ!」
こんな顔になるのも、そもそもこんなに悩んでいるのも、全ては朝宮のせいだ。
「なんでいつも余裕そうなんだよ」
こんなのは八つ当たりだ。冷静になったほうがいいことも、感情で動いたところでどうにもならないことも、そんなことは頭では理解しているつもりだった。
それでも我慢の限界だったのは、線を引いたくせに、その線をまた超えようとしてくるところだ。
「なんなんだよ、なんで俺だったんだよ」
これまでの気持ちが全部吐き出されていく。
「俺みたいな奴に、なんで構うんだよ。一年のときはなんともなかったのに、二年になっていきなり……俺なりに考えて、朝宮のことを真剣に考えたつもりで」
ああ、ぐちゃぐちゃだ。言いたいことが何もまとまっていない。
こんなの俺らしくない。
「俺は朝宮みたいにキラキラしてないし、余裕とかないし、こういうのでいっぱいいっぱいになるし……完璧な朝宮には俺の気持ちなんて分からないよ」
ああ、黙れよ俺。しゃべんなよ。
こんなこと言ったって朝宮を困らせるだけだ。
それなのになんでこんなことを。
「……俺が完璧に見えてるんだとしたら、必死だからだよ」
ぽつりと聞こえたその声に、馬鹿みたいに「え」と腑抜けた声が出た。
離れていく指先。はは、と乾いた笑いが、妙に鮮明に響いて。それが普段の朝宮とはかけ離れているように見えた。
「間山に好かれたくて、余裕があるように見せているだけで、完璧な人間なんかじゃない」
「……嘘だ。完璧だよ、朝宮は」
「なら、間山がそう思ってくれてるだけ。俺は顔だけだから」
「顔だけって……」
「間山もさっき聞いたでしょ。ああやって顔だけで評価されてきた人生なんだよ」
ドリンクバーにいた女の子たちの会話を思い出す。
あの話を聞いたとき、俺は朝宮のもっといいところを知ってるのにって思った。でも、朝宮自身は一体なにを感じたんだろう。
「今まで特別なことをしなくても勉強はできたし、運動もできた。でも結局、ほかの奴らが見てんのは顔で、顔がよければ全ていいらしい」
静かで、どこか遠くを見ていたその目は、何を思い返していたのだろう。
「顔で評価されるだけで、意味なんてほとんどない。そこに金持ちの情報が追加されれば、もっと近寄ってくる人間は多い」
今まで朝宮が絶対に言わなかったようなこと。
どこか周りを俯瞰しているように見えていたけど、本当は自分のことを一番俯瞰していたのかもしれない。
ご当地キャラにこんなことするのか?
……こういう触り方なんてしないだろ。
ああ、もう最悪だ。
俺は朝宮に怒ってるのに。切り替えようと思ったけど、やっぱり無理だ。
本当は、なんであんなこと言ったんだよって、何も考えずに言えてしまったらいい。でも、それに返ってくる答え次第で、脆くて壊れやすい俺たちの関係なんて一瞬で消えてなくなってしまいそうで怖い。
「間山?」
顔を伏せた俺を、追い詰めるように覗き込んでくる。
やたらと距離が近い。朝宮のせいで、なんでこんなに悩まないといけないんだ。
平然としていたくてもこんな顔、朝宮には見られたくない。顔が熱い。絶対やばい顔してるって自覚があるのに、隠すこともできない。
俺は朝宮に、好きにならなくてもいいって言われてるんだぞ。
それなのに、こんな顔なんかしてたら、「好きです」って言ってるようなもんじゃん。
「間山、本当にどうした?」
「……せい、だ」
「え?」
「全部朝宮のせいだろ!」
こんな顔になるのも、そもそもこんなに悩んでいるのも、全ては朝宮のせいだ。
「なんでいつも余裕そうなんだよ」
こんなのは八つ当たりだ。冷静になったほうがいいことも、感情で動いたところでどうにもならないことも、そんなことは頭では理解しているつもりだった。
それでも我慢の限界だったのは、線を引いたくせに、その線をまた超えようとしてくるところだ。
「なんなんだよ、なんで俺だったんだよ」
これまでの気持ちが全部吐き出されていく。
「俺みたいな奴に、なんで構うんだよ。一年のときはなんともなかったのに、二年になっていきなり……俺なりに考えて、朝宮のことを真剣に考えたつもりで」
ああ、ぐちゃぐちゃだ。言いたいことが何もまとまっていない。
こんなの俺らしくない。
「俺は朝宮みたいにキラキラしてないし、余裕とかないし、こういうのでいっぱいいっぱいになるし……完璧な朝宮には俺の気持ちなんて分からないよ」
ああ、黙れよ俺。しゃべんなよ。
こんなこと言ったって朝宮を困らせるだけだ。
それなのになんでこんなことを。
「……俺が完璧に見えてるんだとしたら、必死だからだよ」
ぽつりと聞こえたその声に、馬鹿みたいに「え」と腑抜けた声が出た。
離れていく指先。はは、と乾いた笑いが、妙に鮮明に響いて。それが普段の朝宮とはかけ離れているように見えた。
「間山に好かれたくて、余裕があるように見せているだけで、完璧な人間なんかじゃない」
「……嘘だ。完璧だよ、朝宮は」
「なら、間山がそう思ってくれてるだけ。俺は顔だけだから」
「顔だけって……」
「間山もさっき聞いたでしょ。ああやって顔だけで評価されてきた人生なんだよ」
ドリンクバーにいた女の子たちの会話を思い出す。
あの話を聞いたとき、俺は朝宮のもっといいところを知ってるのにって思った。でも、朝宮自身は一体なにを感じたんだろう。
「今まで特別なことをしなくても勉強はできたし、運動もできた。でも結局、ほかの奴らが見てんのは顔で、顔がよければ全ていいらしい」
静かで、どこか遠くを見ていたその目は、何を思い返していたのだろう。
「顔で評価されるだけで、意味なんてほとんどない。そこに金持ちの情報が追加されれば、もっと近寄ってくる人間は多い」
今まで朝宮が絶対に言わなかったようなこと。
どこか周りを俯瞰しているように見えていたけど、本当は自分のことを一番俯瞰していたのかもしれない。



