ここは話を切り替えてしまおう。うん、それがいい。
「俺に用があったとか……?」
「用」
その言葉をなぞるように口にして、朝宮は首を傾げる。しまいには「んー」と考え込んでしまった。
「どうやって連れ去ろうかなとは思ってたけど、それが用になるのかは分からない」
今、さらりとすごいこと言ったよな。連れ去るって俺のことだろ?
「でも、楽しく過ごしてるんだったら、迷惑になるのは嫌だったし」
「いや……浮きすぎて耐えられなくなって出てきたとこだよ」
あそこはやっぱり陽気な雰囲気を率先して楽しめる人か、心から出会いを求めてる人にしか参加権はない。いくら強引に誘われたとはいえ、俺が行っていい場所ではなかった。
「俺ならそんなことさせないのに」
ぼそっと朝宮が言った。それを聞き返そうとしたら、朝宮が一歩俺へと近づいた。
「間山はなんで合コンに来たいと思ったの? やっぱり付き合うなら女の子がいい?」
「ッ、付き合うとかそんなことは……今日は騙されて連れて来られたようなもので」
「じゃあ榊? 最近仲いいよね」
一歩、また一歩と朝宮が近づくたびに、俺は無意識に後ずさっていた。
「仲いいかは分からないけど、話すようにはなった……かも?」
「なんで話すようになってんの。委員会が同じってだけなのに」
「それはそうかもしれないけど……あれ、本当になんでなんだろう」
言われてみれば、榊と関わりが多いのは不思議だ。朝宮と関わる前は、同じように榊とも交流を持つことはなかったのに。
「いいよね、榊は。間山と夏休みにも会うような気心知れた仲になれて」
「榊と気心知れた仲になれた覚えはないけど……いや、そもそも朝宮たちと俺では住んでる世界が違うようなもんで」
「一緒じゃん」
朝宮の手が俺の右手を掴んだ。
「こうして触れる時点で同じ世界に住んでるでしょ。なんで分けるんだよ」
「それは……」
俺と朝宮では釣り合うはずもない。そんなことは誰が見たって思うはずだ。
そもそも、先に線を引いてきたのは朝宮だ。俺のことを好きにならなくていいって、そういうことを俺たちが築いてきた関係性の中で言い放ったことが信じられなくて。
そういう怒りをぶつけてやりたいのに、好きが邪魔をして、そうはさせてくれない。
そのとき、どこかの部屋の扉が開いて騒音がでかくなった。
「朝宮、ここではちょっと……」
「うん」
そう言って、なぜかどこかに連れて行かれる。
もしかして、皆がいる部屋に戻るのか?
さすがにこの流れでは無理だろ。気まずいって。今の俺が行ける部屋なんてどこに――。
「え、ここ」
「さっき新しく部屋を取った。間山とふたりになれるとこほしくて」
朝宮に連れて来られたのは、誰もいない部屋だった。扉が閉まると、外から聞こえていた音が少しだけボリュームダウンする。
「俺に用があったとか……?」
「用」
その言葉をなぞるように口にして、朝宮は首を傾げる。しまいには「んー」と考え込んでしまった。
「どうやって連れ去ろうかなとは思ってたけど、それが用になるのかは分からない」
今、さらりとすごいこと言ったよな。連れ去るって俺のことだろ?
「でも、楽しく過ごしてるんだったら、迷惑になるのは嫌だったし」
「いや……浮きすぎて耐えられなくなって出てきたとこだよ」
あそこはやっぱり陽気な雰囲気を率先して楽しめる人か、心から出会いを求めてる人にしか参加権はない。いくら強引に誘われたとはいえ、俺が行っていい場所ではなかった。
「俺ならそんなことさせないのに」
ぼそっと朝宮が言った。それを聞き返そうとしたら、朝宮が一歩俺へと近づいた。
「間山はなんで合コンに来たいと思ったの? やっぱり付き合うなら女の子がいい?」
「ッ、付き合うとかそんなことは……今日は騙されて連れて来られたようなもので」
「じゃあ榊? 最近仲いいよね」
一歩、また一歩と朝宮が近づくたびに、俺は無意識に後ずさっていた。
「仲いいかは分からないけど、話すようにはなった……かも?」
「なんで話すようになってんの。委員会が同じってだけなのに」
「それはそうかもしれないけど……あれ、本当になんでなんだろう」
言われてみれば、榊と関わりが多いのは不思議だ。朝宮と関わる前は、同じように榊とも交流を持つことはなかったのに。
「いいよね、榊は。間山と夏休みにも会うような気心知れた仲になれて」
「榊と気心知れた仲になれた覚えはないけど……いや、そもそも朝宮たちと俺では住んでる世界が違うようなもんで」
「一緒じゃん」
朝宮の手が俺の右手を掴んだ。
「こうして触れる時点で同じ世界に住んでるでしょ。なんで分けるんだよ」
「それは……」
俺と朝宮では釣り合うはずもない。そんなことは誰が見たって思うはずだ。
そもそも、先に線を引いてきたのは朝宮だ。俺のことを好きにならなくていいって、そういうことを俺たちが築いてきた関係性の中で言い放ったことが信じられなくて。
そういう怒りをぶつけてやりたいのに、好きが邪魔をして、そうはさせてくれない。
そのとき、どこかの部屋の扉が開いて騒音がでかくなった。
「朝宮、ここではちょっと……」
「うん」
そう言って、なぜかどこかに連れて行かれる。
もしかして、皆がいる部屋に戻るのか?
さすがにこの流れでは無理だろ。気まずいって。今の俺が行ける部屋なんてどこに――。
「え、ここ」
「さっき新しく部屋を取った。間山とふたりになれるとこほしくて」
朝宮に連れて来られたのは、誰もいない部屋だった。扉が閉まると、外から聞こえていた音が少しだけボリュームダウンする。



