夏休みの間も、朝宮は何してんのかなって思いながら過ごすことが何度かあった。
それに会おうと思えば会えたはずだ。
毎日、朝宮から連絡がないかって気にしてる自分も嫌だったし、かといって俺から連絡できるほどの勇気もなかった。
だから今日が久しぶりの朝宮で、なぜか変に緊張している自分もいる。
「読んだよ、間山がオススメしてくれた本」
「えっ、もう!?」
「うん、面白かった。間山が読んでるんだなって思うと、さらに楽しめた」
「それは……よかった。気になってたから」
あれから、俺も朝宮のことを考えながら読んでいた。
何度も、何度も、朝宮のことを思いだした。
ああ、なんかあれだな。こういうの、全然嫌じゃない。
誰もいない教室。夕日が差し込む中で、俺よりも背が高い朝宮に抱きしめられて。ふと、顔を上げた朝宮と鏡越しで目が合って――。
あ、好きだ。
唐突に自覚した思いに、何もかもがパズルのピースのようにぴったりとハマった。
友達なのかどうか分からなかったけど、でも、朝宮に可愛いと思われることをうれしいと感じている時点で、俺は朝宮のことが好きなんだと思えて。
すごい格好で、すごいシチュエーションで自覚したけど、でも、そうなんだ。
だって、この顔は俺だけにしか見せてほしくない。
俺を求めるようなその顔は、ほかの誰にも見せたくない。
今なら言える。好きだって。思い切って口を開きかけたら。
「俺のこと、好きにならなくてもいいからね」
「……え?」
いつも俺に愛を伝えてくる口で、朝宮はたしかにそう言った。
一瞬、聞き間違いかと思った。朝宮から言われたとは思えなかった。
なんで、とこぼれたそれは音にすらならなかったと思う。
言われた意味が分からない。好きにならなくてもいい、それはどういう経緯で今出てきたものなのか。
その真意を確かめることすら出来ないまま、朝宮はパッと俺から離れていく。
「俺にとって間山は目の保養だから」
「保養って」
「マスコット……いや、ご当地キャラみたいな。そんな感じ」
それって、俺が抱いた好きとは違うってこと?
今までがそうだったってこと?
そういうつもりで、俺のことを好きだって言ってた?
本気だったと思うけど、あれは全部俺の勘違いだったのか?
「……なんだよ、それ」
つい漏れていた。
「ん?」
俺は本気で、朝宮とのことを考えていたのに。誠心誠意向き合いたいって、そう思ってたのに。
全部、全部、無駄だったのか。
「まや──」
「朝宮のバカ!!」
そう言って逃げ出すように教室を飛び出した。
なんだそれ、なんだよそれ。
長い期間ではなかったかもしれない。それでも俺は朝宮が向けてくれる気持ちを大切にしたいってずっと考えていたのに。
「あれ、間山。まだ着替えてなかったの?」
廊下で、常川田が驚いた顔で俺に声をかけてきた。「ごめん」と立ち止まりかけたけど、「間山!」と後ろから朝宮の声が聞こえて、そのまま全速力で走った。
朝宮のバカ。今更なんだよ。
それならそうともっと早く言えよ。そうじゃなかったから――。
「……本気で好きになっちゃったじゃん」
階段の踊り場まできて、ずるずると壁にもたれて座り込む。
皮肉にも、朝宮が俺に『ガチ』と言ってきた場所だ。
あの時は思いもしなかった。
こんなにも朝宮のことを好きになるなんて。
それに会おうと思えば会えたはずだ。
毎日、朝宮から連絡がないかって気にしてる自分も嫌だったし、かといって俺から連絡できるほどの勇気もなかった。
だから今日が久しぶりの朝宮で、なぜか変に緊張している自分もいる。
「読んだよ、間山がオススメしてくれた本」
「えっ、もう!?」
「うん、面白かった。間山が読んでるんだなって思うと、さらに楽しめた」
「それは……よかった。気になってたから」
あれから、俺も朝宮のことを考えながら読んでいた。
何度も、何度も、朝宮のことを思いだした。
ああ、なんかあれだな。こういうの、全然嫌じゃない。
誰もいない教室。夕日が差し込む中で、俺よりも背が高い朝宮に抱きしめられて。ふと、顔を上げた朝宮と鏡越しで目が合って――。
あ、好きだ。
唐突に自覚した思いに、何もかもがパズルのピースのようにぴったりとハマった。
友達なのかどうか分からなかったけど、でも、朝宮に可愛いと思われることをうれしいと感じている時点で、俺は朝宮のことが好きなんだと思えて。
すごい格好で、すごいシチュエーションで自覚したけど、でも、そうなんだ。
だって、この顔は俺だけにしか見せてほしくない。
俺を求めるようなその顔は、ほかの誰にも見せたくない。
今なら言える。好きだって。思い切って口を開きかけたら。
「俺のこと、好きにならなくてもいいからね」
「……え?」
いつも俺に愛を伝えてくる口で、朝宮はたしかにそう言った。
一瞬、聞き間違いかと思った。朝宮から言われたとは思えなかった。
なんで、とこぼれたそれは音にすらならなかったと思う。
言われた意味が分からない。好きにならなくてもいい、それはどういう経緯で今出てきたものなのか。
その真意を確かめることすら出来ないまま、朝宮はパッと俺から離れていく。
「俺にとって間山は目の保養だから」
「保養って」
「マスコット……いや、ご当地キャラみたいな。そんな感じ」
それって、俺が抱いた好きとは違うってこと?
今までがそうだったってこと?
そういうつもりで、俺のことを好きだって言ってた?
本気だったと思うけど、あれは全部俺の勘違いだったのか?
「……なんだよ、それ」
つい漏れていた。
「ん?」
俺は本気で、朝宮とのことを考えていたのに。誠心誠意向き合いたいって、そう思ってたのに。
全部、全部、無駄だったのか。
「まや──」
「朝宮のバカ!!」
そう言って逃げ出すように教室を飛び出した。
なんだそれ、なんだよそれ。
長い期間ではなかったかもしれない。それでも俺は朝宮が向けてくれる気持ちを大切にしたいってずっと考えていたのに。
「あれ、間山。まだ着替えてなかったの?」
廊下で、常川田が驚いた顔で俺に声をかけてきた。「ごめん」と立ち止まりかけたけど、「間山!」と後ろから朝宮の声が聞こえて、そのまま全速力で走った。
朝宮のバカ。今更なんだよ。
それならそうともっと早く言えよ。そうじゃなかったから――。
「……本気で好きになっちゃったじゃん」
階段の踊り場まできて、ずるずると壁にもたれて座り込む。
皮肉にも、朝宮が俺に『ガチ』と言ってきた場所だ。
あの時は思いもしなかった。
こんなにも朝宮のことを好きになるなんて。



