『チョコレートだけの弁当やってさ』
ある日の休憩時間そんなささやき声が聞こえてきて振り向いた。
けれど誰もウチのことなんて見ていない。

気のせいかと思って前をむくと『やからあんなに巨大なんや?』と、笑い声が聞こえてくる。
振り向くと、誰もこちらを向いていない。
嫌な汗が背中を流れていくのを感じる。

鼓動が早くなって呼吸が苦しくなってくる。
『だいだらぼっち』
誰かが呟き、付近にいた生徒たちがどっと湧いた。

だいだらぼっちって何だっけ?
そう思ってすぐに思い出した。
昔、幼稚園の頃におばあちゃんから聞いた昔話の中に出てきた神様とか、妖怪じゃなかったっけ?