サッと血の気が引いていくのがわかった。
すぐに拾い集めたい衝動にかられるけれど、動くことができなかった。
『あ、大丈夫?』

次の瞬間、後ろに立っていた女子生徒が駆け寄ってきて、足元に転がったチョコレートを拾い始めていた。
『おいおい、大丈夫かぁ? ってかさ、今屋上に俺らがおったこと黙っててや?』
男子生徒も続いて下りてきて、チョコレートとお弁当箱を拾ってくれる。

散乱していたものはあっという間にお弁当の中におさまって元通りになった。
『ほい、これ』
丁寧に入れなおされたお弁当箱を差し出されて無意識のうちに受け取る。
『じゃあね』