彼女は長くてつややかな黒髪をなびかせてふりむき、そして絵に描いたような完璧な笑顔を浮かべた。
『〇〇さんは力がありそうだから、鍵のかかった自転車でも持ち上げて移動してくれそうだからです』

続いてウチを推薦した理由が堂々と語られて愕然とした。
けれど愕然としてしまっているのはクラス内でウチひとりだけで、他の子たちはクスクス笑ったり彼女の意見に賛同したりと面白おかしな雰囲気になっていた。

『確かに力持ちそうね。〇〇さんどうかな？』
『え……でもウチはちょっと……』
突然話をふられたことでキッパリと断ることができなかった。