私はお母さんの手作りしたハンバーグに箸を伸ばしかけていたけれど、今の言葉が信じられなくてひっこめてしまった。

『大学よ。あなたが行っている大学から医学部に行くのは大変だと思うけど』
続けられた言葉に愕然として返事ができなかった。
私は信じられない気持ちで目の前の両親を見つめる。

両親とも連日の弟の捜索で疲れ切っていて、随分とやつれて痩せてしまっている。
目の下にはクッキリとクマができていて、お父さんは常に頭痛を訴えるようになっていた。

『それでも頑張らないとね』
疲れ切った顔でニッコリと微笑んでそう言われたとき私は悟った。
あぁ、また自分の番が回ってきたんだよ。