本当はああいうものが弟にとって大切だったんじゃないかな。
『●●は自分から家出したんだよ。この家にいるのが嫌だったんだよ』
あの赤いスコップは弟と私ふたりのものだったのに、弟はほとんど使うことがなかった。
使う暇を与えられなかった。
両親は私の言葉に目を見開いて絶句した。
ショックで口も聞けないふたりの顔を、このときはじめて見た。
それからふたりは死に物狂いで弟を探しはじめた。
恥も外聞も関係なく、弟が行きそうな場所をかたっぱしから訪ねて回った。
近所の人たちも普段人当たりがいい私の両親を気の毒がり、かなり手助けをしてくれた。
それでも弟は見つからない。
『●●は自分から家出したんだよ。この家にいるのが嫌だったんだよ』
あの赤いスコップは弟と私ふたりのものだったのに、弟はほとんど使うことがなかった。
使う暇を与えられなかった。
両親は私の言葉に目を見開いて絶句した。
ショックで口も聞けないふたりの顔を、このときはじめて見た。
それからふたりは死に物狂いで弟を探しはじめた。
恥も外聞も関係なく、弟が行きそうな場所をかたっぱしから訪ねて回った。
近所の人たちも普段人当たりがいい私の両親を気の毒がり、かなり手助けをしてくれた。
それでも弟は見つからない。



