所在なく突っ立っていた弟はその言葉に笑みを浮かべてソファに戻ってきた。
私は横に座る弟の顔をチラリと盗み見てみると、弟もこちらを向いていた。

ふたりにて悪いことをした子供のような笑みを浮かべたあと、いつもよりも大きな声で笑いながらお笑い番組を見たのだった。

☆☆☆

勉強漬けで生きてきた弟は去年の4月、両親の期待通りの高校に主席で入学した。

その日ばかりは両親も勉強という言葉を封印して弟をほめそやし、クリスマスケーキのような豪華なケーキを準備して入学お祝いした。

弟は子供みたいに口の端にクリームをつけて本当に楽しそうに過ごしていた。
ずっとずっとこんな毎日が続けばいいのに。