幼い子にとっては地獄のような時間だったんだろう。
弟は前日の夜になると私の部屋にやってくるようになった。
『お姉ちゃん、ここ教えて』

そう言って明日やらされるドリルのページを開いてくるのだ。
私も最初は弟に問題の解き方を教えていた。
でも、それもすぐにできなくなってきた。

弟は休日も平日も問わず両親から勉強を教えてもらっている身だから、私が学校で習っているところをすぐに追い越してしまったのだ。
ある夜いつものように弟がドリルを持ってきたとき私は驚いて言葉を失ってしまった。
5歳の弟が持ってきたドリルは、小学2年生用のものだったからだ。