幼いころからそう言い聞かされてきた私の成績は、それでも中の上止まりといったところ。

特別勉強が苦手というわでけはなかったけれど、私に弟が生まれてからは両親の関心がそちらへ移っていったからだった。

両親は私にも医療関係の道に進んで欲しそうにしていたが、その熱の入れようは弟の方がすさまじかった。
『遊びの時間は終わりよ。次は勉強しなきゃね』

3歳になった弟と庭先で遊んでいると、30分もすればすぐに両親のどちらかに呼び戻されるようになった。
『勉強時間だって』

私はひとつ下の弟の手を引いてリビングへ戻り、それぞれの勉強道具を準備した。
弟と肩を並べて勉強している時間は楽しかった。

小さくてぷくぷくとしている弟の手はまだ鉛筆を上手に扱うことができず、ギュッと握りしめているのが可愛くて仕方ない。