「死にたい女子高生が嫌がるのもわかるよ。だからこれは完全に私のわがまま。ただ自分が他の人に話したくて、聞いてほしいだけ。それで気分が悪くなったのなら、ちゃんと謝るから」

クネクネが頭を下げてそう伝えてくる。
話したい本人からそうまでされてしまうともう言い返せなかった。
私は唇を引き結び、うつむく。

これからみんなの暗い過去を聞くことになるのかと思うと、自然と心が沈んでいく。
視界に入った七輪を見て、それならいっそ今のタイミングで火をつけて、話を聞き終えるころには死ぬようにしようか、などと考える。

「それでいいじゃん。人の過去聞いて多少気分が重くなったってさ、これから死ぬんだからどうでもことでしょ。むしろちょっと気分が落ちた方が死にやすいかもよ?」

白紙は相変わらずの調子で肯定的な言葉を言っている。
私は小さくため息を吐き出してクネクネを見た。
クネクネの神経質そうな視線が、今は懇願するようにこちらを見つめている。

「わかったよ。好きにして」
ただし、聞きたくないと思った人はリビングから出ていいことと決めて私たちはクネクネの言葉に耳を傾けることになったのだった。