「さぁ、自分でもよくわかんないかも。どれが本当の自分でどれが嘘なのか。もしかしたら全部本当かもしれないし、全部嘘なのかもしれないし」

「うん。それわかる気がする」
私は頷いて手元のグラスへ視線を落とした。
学校での自分、家での自分、友達と遊んでいるときの自分に、彼氏とデート中の自分に、ひとりでいるときの自分。

全部ひとりの自分という人間なのに少しずつ違っていて、無意識のうちに使い分けていて、その差がどんどん大きくなっていったとき、自分は自分を見失ってしまうのかも。

「でもそれって、他人が勝手に作ったものじゃないじゃん! 自分で作った偽りの自分だったら、変わることだってできるし!」