一枚のドアを除いて目張りは終わった。
リビングのテーブルの下には開封した七輪と炭が準備されている。
火はまだつけていないけれど、そのタイミングになればつければいいだけだった。

そのタイミングがいつなのかまだわからないけれど、数時間後にはきっとみんな満足しているはずだった。
みんなの覚悟が決まって意見が一致したときに、死へのスイッチを点火する。

「ひとまず準備が終わったね。乾杯しよか」

このメンバーに鳴れてきたのかだいだらぼっちがジュースの入ったグラスをかかげた。
その顔には柔らかな笑みすら浮かんでいる。
これから自殺する子の表情とは思えなかった。
他の3人がそれにあせてそれぞれのグラスを手に持つ。

「ウチらみんな幸せ者やな。だって明日になればこんな世界からさよならできてるんやから」