医師はそう言うと私に背を向けて歩き出した。
待って。
まだ話を聞かせて。
クネクネは?

だいだらぼっちは?
ダメだ。
彼女たちの名前も出てこない。
彼女たちはふたりとも生きたがっていたのに。

まさか、死んでなんかないよね?
「あ、あのっ」
かすれた声で呼び止めると医師がドアの前に振り向いて、そしてニッコリと微笑んだ。
「他のふたりは大丈夫だったから、安心しなさい」

その言葉に全身の力が抜けていく。
もうあのふたりとも永遠に会うことはないだろう。
だけど生きている。

この世界のどこかで、あの一夜を共にしたふたりが呼吸をしている。
私はそっと目を閉じて夢の続きへと沈んでいったのだった。


END