悪意を向けられたから、悪意が生まれてしまっただけだった。
そんな私たちはきっと真っ白でなんの穢れだって持っていないはずだ。
今も、まだ。
「なんでみんなで邪魔するの」

白紙の声が震えている。
暴れたせいで体が熱を持って、そしてとても疲れているのがわかった。
私は白紙の首元についた血を手のひらで拭った。
傷はそんなに深くない。

ホッと息を吐いてそのまままた、白紙の体の上につっぷした。
すごくすごく疲れていた。
そして長い夢を見ていたような気がする。

やがて遠くからパトカーの音が聞こえてきて、憧れの別荘の前でピタリと止まった。
「こっちです!」